ベルギーでは様々な国の出身者と出会い、その中でもよく一緒にカフェに美味しいコーヒーを飲みに出かけていたスウェーデン人女性がいる。40歳だったがずっと若く見えて、しかもブロンドに青い目でモデルのようなスタイルの女性なのに、珍しく性格が良くてシャイで優しい性格だ。駐在員だった彼女のフィアンセとともに帰国し、数ヶ月前にストックホルムのテロに遭遇したが、難を逃れた。

 そんな彼女がいつも大好きでよく観ていると教えてくれたのが、ブリッジと言うスウェーデンとデンマークの2カ国で制作されているドラマだ。

ベルギーでも放送され、私もしっかりとはまってしまったドラマである。

 

 スウェーデン人の優秀だけれど感情表現が乏しく(しかし彼女自身にはちゃんと感情がある)他人の感情を察することができない女性刑事がデンマーク人の感情豊かな刑事とともに国境をまたいだ猟奇的連続殺人事件(ほとんどホラー映画なので心臓が悪い人にはおすすめできない)を解決していく。すでに第三シリーズまで放送されていて欧州では大人気だ。

 

 

最初は事件とは全く無関係なく人々がそれぞれの出来事に複雑な感情や対立を見せていく中で話はゆっくりと進む。やがてはそれぞれの人々が一つの事件に絡んでいくのだ。そんな事件に関わる様々な人々の細やかな心理描写が観ているうちに、多くの人がはまるのだろう。しかも最終回まで犯人は逮捕されない。そして感情表現が乏しい女性刑事の孤独感がひしひしと伝わってくる。

  アメリカの勧善懲悪な刑事ものとは違い、ずっと暗いトーンの中張り詰めた雰囲気でストーリーが展開していく。ヒリヒリする心の痛みが重たく広がる空に象徴されている。もちろん事件が解決しても決してハッピーエンドではない。

 

 主人公の女性はとても美しい女性なのだが、ほとんどノーメークでシワも隠さず、ぼさぼさの髪。着ているものはいつも同じ安物のH&M。実はこのブランドはとにかくたくさん服が欲しい学生や低所得者層が愛用しているブランドだ。

 イギリスのBBCのインタビューでは、その役を演じている時は彼女の脳波すら同化してしまうそうだ。本当に役にのめり込んでいる。

 

 舞台は欧州のどこにでもありそうな風景だけれど、スウェーデンとデンマークを結ぶ長い長い橋はとても美しい風景だ。

そしてそこに流れる美しい曲は、今も私の一番のお気に入りの曲だ。