ある日、私と夫はアメリカのインテリア番組を見た。
インテリアの趣味が悪くてなかなか売れない家をインテリアデザイナーがスタッフを使い簡易な改築もして飾り付けて見違えるようなインテリアにして、改築前見に来た人たちに改築後をみて驚いてもらうという内容だったと思う。

 そこに日本人女性とアメリカ人男性のカップルの家が出てきた。アメリカ人男性はちょっと小太りで人のよさそうな、どこにでもいるアメリカン。
 日本人女性は自称ファッションフォトグラファー。三十代の日本人女性は、ロングの巻き毛に痩せすぎなバストを強調したシルクのキャミソールという格好。

 彼女のファッションの力の入れようから察するとそこそこの暮らしをしているはずが、広い部屋にミスマッチで古びた家具がぽつんぽつんと置かれているあまりにも殺風景なインテリア。
アメリカ人のインテリアデザイナーが、あなたはセクシーだけど、あなたのインテリアはセクシーじゃないよねと言うとその日本人女性は口を尖らせる。

 見ていた夫が日本人女性の会話によくこんなレベルでアメリカ人と結婚して生活していけるよなあと、驚いていた。
ガチガチの日本語訛りの発音だけでなく、ファッショナブルとか洗練されているとか、東京とか禅という言葉を何回も使い、いかに自分のセンスがいいかを強調しているらしいのだが、単語があまりに貧弱で、何をどう言いたいのか私ですら聞いていてもよくわからないのだ。

 ファッションフォトグラファーという肩書きも、どうやら勝手につけていたようで、それらしき写真もでてこない。番組のスタッフを撮る姿も、やたらにレンズをまわしているだけで、おそらく構図も焦点も良くわかっていないだろうことは一目瞭然。

 正直こんな人が、私は東京にいた(らしい)日本人でございと海外のテレビに出て来るのは、日本人のイメージを損なうようで嫌なもんだ。

 インテリアの趣味が悪くったって、きちんとした服装でゆっくりと言葉を選びつつ英語で話せば、それだけで印象はずっと良くなるのにねえ‥。

 テレビに出ることだけを目的にしないで、自分をどういかに良く見せるかということを考えた上で、テレビに出てほしいものだ。


 ただテレビに出ているからスゴイって言わせるのも、私は嫌だなあ。

 あるブログで日本のテレビにも出たすばらしい人だと紹介されていた人は、駐在員の旦那さんの仕事について何カ国も住んだ経験を持つ人。それでも海外滞在歴が長いとか、様々な国の文化を知ってますって誇らしげに書かれている。
 でも駐在員の奥さんとして、数年間滞在して異動することがわかっていて、しかも日本人村のなかにいて、会社に世話になってる訳だし‥、表面的なところしか見えてないのに、テレビで訳知り顔に説明までする人が偉いのかいと、思わずそのブログをブックマークから外した。


 ところで、ベルギーのテレビ番組に『誰もが有名人』っていうテレビ番組がある。
出てくるひとはみんな無名だけど、いろんなところで思い思いに社会を支える人たち。
それは通りを清掃する人だったり、目が不自由で盲導犬を迎え入れようとする女性だったり、イギリスに出て小さなライブハウスで演奏する少年だったり。
 無名だけど、でも一生懸命生きているそんな人たちを評価するテレビが、日本にあってもいいのにねえ。そしてそんな番組にこそ、素敵な日本人女性がでてほしいなあ。