彼は強い・・・

本人はバカだからって笑って言うけど、かける言葉が見つからない。

彼から話しを切り出してくれた。


『自分はあと一年も生きていることはないです。
そのことを知ったとき、一年待つまでもなく、自分からって考え、逃げ出したけど、彼女の声を聞いた途端・・・

でも投薬治療で多少は延命できても、そう変わらないし・・・。 
今は風邪になっても、抵抗する免疫がないから、風邪だけでOUTです。 
身内にも見放されたし、何の楽しさも生きがいもありません。
ただ、ここにくれば、何も考えなくて済むし、余計なことを考えることもないから。
今は自分の生きてきた道を振り返る日々です。
先日神奈川に行ってきました。
自分の人生の出発点だったから・・・

俺、頑張ってきましたよ。もう充分です。
ただ玉突きだけは楽しくて・・・
ただあなたには知ってほしかった。

私の病気を知らない人に、生きる意味がないなんてことを言ったら、「甘ったれるな!」とか「生きたくても、出来ない奴がいるんだぞ!」とか言われるけど・・・
来年の今はここにはいません。
人はいずれ死ぬんです。遅かれ早かれね。
俺、頑張ってきたし・・・
俺、バカだから(^^)
さぁ 今日も真剣勝負です!』


私は一体何をしてるんだろう

情けない・・・

彼みたいに笑って、そんなことが言えるのだろうか・・・
涙ではっきり見えないじゃないか

どうしてそんなに明るくできるんだよ
辛いじゃないか・・・
また一人遠くにいってしまう

彼を見つめて、来年そこに彼がいないことを感じたら、涙が止まらなかった。
誰かに重ねてしまったから・・・。

普通でいてくださいよって無茶いうなよ
ホント、バカだなぁ~お前って。
私はもっと馬鹿だったよ。

君は強い
私に気付かせてくれた
いろんなことを・・・

ありがとう

あと一年、見届けてあげるよ
君の足跡を・・・