早速、送り主に電話をした。
「仕事が見つかったと連絡もらったんですけど、どういった内容ですか?」
すると、相手は
「申し訳ありません、多数の人へ割り振りをしていますのでお名前を教えていただけますか。」
自分の名前も名乗らずいきなり話をしだして
申し訳ないという気持ちを持ちながら男は
「田村です。田村 守です。」
「田村さん。。。。えぇっと。。。。」
電話の奥では何か資料を探すようなガサガサといった音がしている。
「田村さんですね。パソコン系の仕事とかは経験ありますでしょうか。」
「はい、以前SEの仕事をしてました。大抵の内容であればこなせます。」
それを聞くと、電話の相手は
「それは心強い!助かります。
しかし、この仕事をするにあたって東京へ来ていただく事になるのですが、
どうでしょう、寮はこちらで用意しますので考えてもらえないでしょうか。」
仕事の紹介をしてもらえて、しかも、住むところまで用意してくれるなんて
この就職氷河期のこのご時世で、ここまでいい話はもう来ないだろうと思い
守はその場で答えた。
「引越しの準備をするのに少し時間をいただければ大丈夫です。」
「分かりました。でも、その前に仕事の詳細について、
出来れば田村さんとお会いしたいので東京へ来ていただくことは出来ますか?」
「はい、それでは来週にでもお伺いします。」
「それはありがとうございます。
それと、田村さんさえよければ社員登録をその際にさせていただこうと思いますので
寮への住民票の移動をしていただいてから、来ていただけますか。
住所は明日にでもメールさせていただきますので。
それと、戸籍謄本もご一緒に持ってきてください。」
なんだか、話がうまくいきすぎて怖い感じもしたが、
今の守には、そんなことを考える余裕がなかったため了承をした。
翌日、『寮の住所です』という題名で、メールが送られてきた。
その住所は、東京都板橋区○○町と記されていた。
その住所を見て、昨日の話は嘘じゃなかったんだなと思い
区役所へ転出届を出しに守は足早に向かった。
もう後戻りは出来ない。
戻れるならば、この日に戻りたい。
一刻、一刻と悲劇へのカウントダウンは始まっていた。
