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訳:「人の多い事よ!」


博多弁では語尾に付く「さ」は感嘆符になります。
たぶん「この人の多さよ!」からの短縮派生だと思うのですが。

さておき福岡の秋を知らせるお祭り箱崎宮の放生会、これで「ほうじょうや(え)」と読んで下さい
にほぼ10年ぶりに行ってきました。

生きものを放つ、という名前通り、祭りに先駆けて池に鯉、宮に鳩を放ち、
生きものを慈しむというニュアンスのお祭りなんですが
如何せん金魚すくい亀すくい、(昔はヒヨコ釣りも)
最近はカブトムシくじに放生会では恒例のカニ釣りにザリガニ釣りにうなぎ釣りと
何とも生きものに優しくないラインナップ勢揃いのお祭りで、
道行く親子の手に下げられた袋の中にあっぷあっぷしてる亀を見かけては
激しく心が痛むのですが(´;ω;`)


いやしかし放生会は他のお祭り事には無い雰囲気満載。
ってかこういう出店系のお祭りではたぶん福岡の中でもトップクラスじゃないのかな、
何せお化け屋敷(×2)となんとこの御時世に見せ物小屋があるんですよ!?

この見せ物おいらがほんと物心付いたとき親に連れられて来ていた頃から店構えと口上のおじちゃん(もうお爺ちゃん)が
全く変わってなくてなんか懐かしさとまだ残ってるんだという驚きと幼少のトラウマとで
おいらの心は千々に乱れましたwww


夜、暗くなった周囲と対照的に煌びやかな屋台の居並ぶ間
そこだけ吊り下げられた裸電球のぼんやりした明かりで
おじちゃんのざらざらした「さぁ入って入ってほらほら」という呼び口上と掲げた絡まる程蛇の入った箱と
中が少しだけ見えるように作ってある格子窓
そこから覗く「見せ物」であろう着物の女の人の後ろ頭と髪飾り
いよいよ始まるその時になると、慣れた手つきでおじちゃんは蛇を一匹摘みあげて
格子窓越しに中に渡すその繰り返しを小さい頃は飽きもせずに見ていました。

おいらの拙い文章では伝わりにくいと思いますが、
丁度千と千尋の神隠しの始まりの夜のシーンみたいな、というとイメージしやすいかも。
とにかくそこには非現実非日常が凝縮されていて、おいらは釘づけになっていました。

結局それだけ熱心におじちゃんの口上を覚えるほど聞いているのに
一度も入ったことの無いというwww

いやたぶん一生入らないままだろうな、
おいらは見せ物それ自体じゃなくてあの声と口上と電球と格子窓とシマヘビの箱が好きで、
あれがおいらにとっての「見せ物小屋」でだから中を見たらきっと
おいらの22年に培った「見せ物小屋」は崩壊してしまいそうだ。
そんな気がする。

そしてあのおじちゃんは今までに何回「さぁ、入って入って」と言ってきたんだろう。
きっと何千万じゃすまないぞ。