何かを達成したらほめる、
できなかったら叱る。
一般的な価値観として、
極端にいえばこういう方針が
浸透しています。
いわゆる賞罰教育ですが、
アドラーは異をとなえています。
ほめてもいけないし、
叱ってもいけないというのです。
人はほめられると嬉しいです。
誇らしく、認められていると感じます。
でも、その喜びをいつも得たくて、
「ほめられるために行動する」
ようになってしまう危険性があります。
ほめられるために
行動するということは、
賞賛やごほうびがなければ、
自発的に行動しなくなってしまいます。
他人の評価をいつも必要とし、
結果的に自立が阻害されてしまうのです。
叱ることも同様です。
「叱られないために」行動したり、
批判を恐れて消極的な人間になります。
心理学では「動機づけ」
という言葉がありますが、
それには内発的動機づけと、
外発的動機づけとがあります。
簡単に言えば、
自らやりたくて行動するか、
外的条件によって行動するかです。
ほめることや叱ることは、
外発的動機づけを
強調するものです。
「ほめられるから、しよう」
「叱られるから、やっておこう」
ほめても叱っても、
自立していく勇気を
奪ってしまうということですね。
ほめてもダメ、叱ってもダメ。
では、どうすればいいのでしょうか。
それは・・・
感謝を伝えること、
自分がどういう影響を
受けているのかを
伝えることです。
縦の関係ではなく、
同じ目線の横の関係で、
勇気づけをしていくことです。
実践が非常に困難といわれている
アドラー心理学ですが、
実践できたなら、
とても健全に人や社会と
関わっていけると、
僕は感じています。