コイバナ
恋花

「彼と母、母の愛」



M美ちゃんの言葉によって

求めていないのに
甘えじょうず
なのだと
知ることになりました

少し分かりませんけれど
彼がそれで心地良いのなら
私は甘えじょうずで居たい
と、そう思いました





ある日
私の薬指の指輪を見て

母が「本当にいいの?」と
聞きました

私は「うん。決めたの。」
そう言いました


母は母なりに
私をとても愛して育てて
くれました


美しい花を通して
色彩に興味を持ったのも
母のお陰だと思って
います


保育園の帰り道
小さな草花に
いちいち足を止めて
かがみ込む私を


急かすこともなく
叱りもせずに
じっと待っていてくれる母


中学生、高校生の頃の
毎日のお弁当は
蓋を開けると
まるでお花畑のようでした


家での食事も
料理に合わせて
ランチョンマットが変えられ
食器やカトラリーが選ばれ

和洋食のマナーまで
躾けられました


幼い頃は泣きながら
何度も繰り返し教えられ
食事の時間が嫌な時も
ありました


けれどそれは
食べ物を頂く事への
感謝でもあることを
自ら感じるように
なりました



そして話す言葉を
やはり厳しく躾けられ
ました


母は神戸生まれの神戸育ち
父は長崎生まれの長崎育ち
二人の共通会話は
ほとんど英語でした


私は標準語で育てられ
ました


私の中で
よそのお母さんと
自分の母との違いを
嫌に思う思春期が
ありました


よそのお母さんと同じように
していて欲しい
普通でいて欲しいと
思っていた頃もありました


途中で
父を愛せなくなった母
その事が何よりも
悲しかったのですが


母なりの私への愛を
感じながら
育ててもらい
心から感謝しています


そんな母と彼を合わせる
大切な時を
私は慎重に
窺っていました


母が指輪のことを
聞いたので
私の気持ちを話す機会が
与えられたと
思いました


彼との出会いから
私の気持ちの動きや
彼への信頼などを
静かに話しました


母は彼と会わせてくれるよう
言ってくれました


ただ、何度も繰り返し
母の口から出る言葉は

「あなたにお金の苦労を
して欲しくないの」
と言う事でした


母の思いはとても強く
感じました


それでも私は
彼の人間性を分かって
欲しいと
口には出さずに
心の中で思いました




それから
しばらく経ってから
彼と母に
改めて会ってもらう日が
来ました


彼は母が出したお茶に
手を合わせて
ひとくち飲むと


私への気持ちと
結婚の許しを願いました


母は「私の大切な娘を
あなたは幸せにすると
神様に誓えますか」と
厳しい口調で言いました


彼は「はい。
必ず幸せにします。
神様に誓います」と
母の目を見て言いました


母は
「私はあなたを信じたい。」
と言いました


そして母は立ち上がると

「おなか空いているでしょう。
お食事の用意できてるの」
と言いながらキッチンへ
行きました


私は心配で
彼の顔を見ましたら

彼はテーブルの下で
私の手をぎゅっと握ると
にこっと
頷いて見せました




私の両親のことは
早くから彼に話しています


彼は私の思いを知りながら
一緒に温かい家庭を
築いて行こうと
言ってくれていました







母が作った料理を
おかわりをして
汗をかきながら
とても沢山食べた彼に


母はやっと
本当に私を託す気持ちに
なったようでした





つづく





**・*・*・*・*・**


料理というものは

人と人との関係に

和みを与えてくれる
大事なものなのですね

(*´︶`*)♡





女はであれ
賢く優しいとなれ

*+.° ♡ °.+*











一瞬


一生