コイバナ
恋花

「外された見えない指輪」



人目を憚らず
初めて抱きしめて
くれたのは


ライブハウスの
ステージの上でした…


私は胸がドキドキして
息もできないくらいに…




まさか
数年後にその場所で…


その時は
想像だにしていません
でした






遠距離恋愛は
彼と私にとても良い
距離と時間を
与えてくれたと思います



彼は両親の為にも
自分の為にも
多くの国民の皆様の為にも
そして
私の為にも
懸命に頑張って
いました



彼の頑張りを感じながら
私も勉強をし可能な限りの
資格を取り
自立に向けて一歩一歩
しっかりと前に向かって
進む事が出来ました



お互いに励まし合いながら
相手を思う気持ちを
より深めながら。



手紙は1年で
お互いに100通ほどになり
その中には詩と楽譜も
入っていました


時にはテープが入っていて
彼が作った歌があり
歌う前に私に話しかけて
どんな時に作ったのかなど
教えてくれた
とても素敵な贈り物を
くれました



私は歌でのお返しが
もちろん出来ませんので
彼が作ってくれた詩を
イラストにして
イメージに合わせた
カラーインクを使って
書き入れたりして
贈りました



会える時間は
もちろん
嬉しく幸せでしたが


会えない時間も
とても
嬉しく幸せでした



お互いの気持ちを
大切に育み続けながら

時は瞬く間に流れて
手紙が300通を越える頃

私の22才の誕生日に



彼は優しく私の左手を
取ると


薬指から
見えない指輪を外す仕草を
しました



外された
見えない指輪は
彼の左胸のポケットに
入れられて…



すると
それは姿を現し
再び私の左手の薬指に
差し換えられました


 *.°💍°.*





そして

愛しています

結婚して下さい

と言ってくれました






つづく






**・*・*・*・*・**



あなたに頂いた
白い水中花のように

私の薬指で
透明に輝いていた
見えない指輪が

愛という言葉と共に
その姿を現しました





私は

あなたの色に

染まりたい




女は花であれ
賢く優しい花となれ

**+.° ♡ °.+**












一瞬


一生