コイバナ
恋花
「友だちの憧れ」
泊まりで遊びに行った
M美ちゃんの実家は
お元気なおばあちゃん
少し無口で優しいお父さん
よく笑いよく動くお母さん
2つ下の可愛い妹
まだ小学生の元気な弟
おばあちゃんを先頭に
家族みんなが
何気ない思いやりと
優しさを出し合う
時々ケンカもあるけれど
とてもあったかい家庭
でした
M美ちゃんは
「いっつも喧嘩ばっかりよ」
と言って笑ったけど
喧嘩になるから良いなと
思いました
私の両親は長い間
もう喧嘩にもならなかった
相手の姿は
もはや瞳の中に映らず
相手の声が
すでに耳の中にも入らず
ここに居るのに
居ない者となっていた事が
幼い私でさえも感じて
いたのですから。
私はM美ちゃんに
「M美ちゃんの家庭こそが
私の憧れなの」
と言うと
M美ちゃんは
「私は京子ちゃんを
とっても羨ましいと
思っていたんだよね」と
言いました
その言葉は
私には不思議でした。
M美ちゃんは
「初めて京子ちゃんの家に
遊びに行った時さ、
私ね、生まれて初めて
シャンデリアが玄関や
部屋中に付いているの
見たんだよ。
おトイレまでさ!
私、言ったでしょ、
京子ちゃんちすごいねって
それにさ
京子ちゃんの部屋にも
シャンデリアがあって
大きな暖炉や
お姫様みたいなベッドが
あってさ感動したよ。
うちなんか暖炉じゃなくて
火鉢だよ、
まあせいぜい
掘りごたつだし。
子ども部屋なんて
シャンデリアじゃなくて
はだか電球よ、
私、思ったんだ、
世の中には
こんな綺麗な生活を
している人が
いるんだなあって」
M美ちゃんは
そう、一気にしゃべると
「でも…みんな
無い物ねだりなんだね」と
言いました。
そしてM美ちゃんは続けて
「私がね小学生の頃
お父さん重い病気しててさ
私、小学校から帰ると
ばあちゃんと道端で野菜を
売ってたんだよ。
残った野菜はその日の
夕ごはんになるの。
野菜が一杯余ると
毎日野菜ばっかりだよ。
私さ、必死で売ったよ。
お肉なんて
1週間に1回あるかないかよ
妹とさ、お肉の大きさで
ほんと、喧嘩してたよ。
なんでうちには
お金がないんだろう?って
お金持ちになりたいって
いっつも思ってたもん。」
そう言って笑うと
「でもね、
京子に出会って
私とは違う世界があって
幸せって難しいなあって
思うようになったの。
たとえお金があっても
立派な家に住んでても
幸せじゃないって
感じている人がいるんだ
もん…」
M美ちゃんは
寝転がって天井を見ながら
「でもね、やっぱり私は
京子に憧れてる。
お金持ちとかそんな事じゃ
なくてね。
なんかね、私とは違う感覚、
すごく憧れるんだよ
言葉でうまく表現できない
けど、ほんとよ」
M美ちゃんは
そう言うと笑った。
すると弟のRくんが
「ねえちゃん!もうすぐ
8時だよ全員集合が
始まるよ!」
と楽しげに教えに来てくれた
のでした
私はそう言ってくれる
友だちの憧れを
壊さないようにしたいと
思いました
そして
私にも家庭をつくれるのなら
M美ちゃんの家族のような
あったかい家庭を
築いて行きたい。
心から
そう思いました
つづく
**・*・*・*・*・**
似ているようで
みんな違う
意見が合わなくてもいい
なぜ合わないのかよりも
どうすれば
合わせられるかを
考えた方が
とっても楽しいわね**。
女は花であれ
賢く優しい花となれ
**+.° ♡ °.+**
恋は一瞬
愛は一生