コイバナ
恋花
「約束と手紙」
彼は「約束だよ」と
言いました…
オレンジ色の夕焼けの中を
彼を乗せた電車が
ゆっくりと走り出し
電車が見えなくなるまで
私はホームに立って
いました
薬指のサイズ…
手紙や毎日の電話でも
私に聞く事はできるけれど
彼は
あえてそうしなかったのは
とても大切な事だから
直接会った時に…と
いう気持ちと
そして
私が断れないタイミングを
よく考えていて
とても彼らしいと
思いました
その日の夜
彼に手紙を書きました
薬指のサイズも約束通り
書き添えました
そして、お願いも
書きました
あなたが薬指のサイズを
教えて欲しいと
言って下さったとき
とても嬉しく思いました
飛び上がりそうな
くらいに。
そして、その瞬間に
私の薬指には
白く美しい指輪が
すでに輝いていることに
気が付きました
あなたが秋まつりに
くださった
白い水中花のように
とても綺麗な
優しい指輪です
これ以上に素敵な指輪は
どこにもありません
ですから
一つだけお願いを
聞いて頂けませんか
この美しい指輪は
形ある指輪が来た時には
消えてしまいます
どうか
この素敵な指輪を
このまま私の指に
もっともっと着けたままで
いさせてください
心から
あなたが好きです
と、書きました。
その手紙は46年後の今
私の手元にあります
彼はこの手紙が届いた日の
午後8:05の電話で
手紙が届いたこと
とても嬉しく思ったこと
そして
私のお願いを受け止めたと
言ってくれました
それから彼は
帰りの電車の中から
次第に小さく遠のいて行く
夕日に包まれた君を
見ながら
もうまたすぐに
会いたくて
とても切なかったと
言いました
私は彼の気持ちが
変わらない限り
白い水中花のような
白無垢に身を包む日を
何年でも待ちたいと
思いました
物の価値観よりも
感性が合う人に
出会えた喜びが私の背中を
いつも押し続けて
くれたように思います
つづく
・**・*・*・*・**・
たとえ
どんなに小さな花でも
咲くことを忘れなければ
必ずだれかが
見ていてくれるんだね
女は花であれ
賢く優しい花となれ
**+.° ♡ °.+**
恋は一瞬
愛は一生