コイバナ
恋花

「遠距離恋愛」




初めて感じたヤキモチの
不快な感情
それを認めて
自分を肯定できた事が
嬉しかった…

そして
私が居ないことに気付いて
大慌てで友だちの下宿を
訪ねてくれたことも
嬉しかった…


新しい年の始まりの
騒々しい出来事に
自分でも
またハプニング多き一年に
なるのではと思いながら

でも…
心は明るい方を向いている
そんな気がしていました



**



2月の寒い日
彼のお父様がご病気で
片方の目が失明してしまう
という大変な事が
起きました


更に片方の目の視力も
かなり低下なさり
うっすらと人影が見える程度
だと…


その日から
彼は何かと多用になり
親戚の方々の出入りも多く
色々と考える事も
増えている様子でした…




3月になり
彼から大事な話しがある
ということで
少し緊張しながら
彼に会いました



航空自衛隊の叔父の勧めで
随分と考えたが
自分には他にもやりたい事
夢もあるけれど…
入隊しようと思う。

と、彼は言いました。



そして
「遠距離になるけれど
必ず手紙を書くから。
入隊してすぐには
帰れないけれど
外出許可が取れるように
なったら
1番先に会いに行くから

だから、このままで
いて欲しい」
そう言いました。


私は
「お手紙…待ってる。
1番に会いに来てくれる日を
このまま
待ってる。」
そう、お返事しました。


彼は
「良かった!ありがとう!」
とても嬉しそうに
そう言いました。


私は本当は
とても寂しいという思いを
噛み締め飲み込みました



**

やがて
入隊の日が訪れました


時が経つのを
こんなに早く感じたことは
ありませんでした


入隊の日は
サークルの皆んなも
見送りに来ていました


自衛隊のジープが
彼の家の前で停車すると
彼は深くお辞儀をして
そして
見送る皆んなの方を向いて
また深く一礼して
「ありがとうございます
行って来ます」と
言いました


彼のお母様は
目頭を押さえて
いらっしゃる様でした


私は涙を見せたくなくて
少し離れた所から
彼を見送りたいと思い
後ろの端の方に
立っていました


それなのに
彼は車に乗り込む直前に
私を見て頷きました


私が居る場所
気付いていたのね…と
思いました



その日
電話で友だちに話すと
友だちは
「ほんと、寂しいよね、
まさかの長距離恋愛に
なるとは…ね。
でもさ、
戦争に行くんじゃないから
ね」


私は
「ずっと思ってたの…
戦争で大事な我が子を
見送った親や妻や兄弟や恋人
どんなに
辛かっただろうと
そう思うと
涙が出て止まらない」
と言いました


友だちは
「本当に酷いことよ…ね。
でも
Mくんは違うから。」と



**



それから3日後

家のポストに
彼からの手紙が届きました

私も
すぐにお返事を書いて
ポストへ投函


また彼からの手紙が
ポストに届きました


一週間に2通届きます
1ヶ月で8通


さらに
毎日、夜8時05分
彼からの電話が鳴ります

3分間お話しします


こうして
私たちの遠距離恋愛は
友だちも呆れるほど
便箋と電波を通して
続くのでした




つづく





・**・*・*・*・**・



もっと素直に僕の

愛を信じて欲しい





会えない時間が

愛育てるのさ

目をつぶれば君がいる





人間界には
そんな歌があるんだって

あら、ステキね♡






女は花であれ
賢く優しい花となれ

**+.° ♡ °.+**









一瞬


一生