コイバナ
恋花
「泣いていたひと」
友だち数人でホットケーキが
とても美味しい
喫茶店に行きました
でも
店内は学生たちでいっぱい
講義が休講になった為
次の講義まで90分程あり
お店の外で待つことに
しました
女の子はおしゃべりしながら
待つことなんて平気です
10分もしない内に
男性5〜6人がぞろぞろと
出て来ました
友だちが私を肘で
そっと突きます
ロイヤルブルーさんが
その数人の中に
いたのです
ところが私…
ドキッとしなかったのです
友だちは
挨拶でもしたら?と
言わんばかりに
私をみています
私は
「こんにちは」と
多分、笑顔で言ったと
思います
ロイヤルブルーさんは
「あ、また会ったね!」
と爽やかな笑顔を
下さいました
私たちは
喫茶店の奥の空いた席に
座りました
なぜそこまで覚えているのか
それは
その喫茶店には
「学生ノート」
というものがあり
そのノートがその席に
置いてあり日付と時間
名前やニックネーム
ちょっとした日記のような
ことを書くように
なっていました
そこには
ロイヤルブルーさんの学部と
5人の名前やイニシャル
ニックネームネームが
書かれていました
友だちが
「ね!この席しか空いて
いないから
ブルーさんたちだよね!
このノートに書いてあるの」
他の友だちが
「名前とか分かるかな?」
そう言って注文すら忘れて
ノートを見ていたのです
友だちが
「京子、もっと積極的で
いいんじゃない?」
他の友だちも「そうよ!」
なんて言っています
でも自信もありませんし
何より今日はドキッと
しなかったのです
教授の研究室を探しきれず
一人で困っていた時に
親切に連れて行って
下さった爽やかな人…
背が高くて
歩くの早くて
とても感じが良くて…
学部が違うのに
偶然会った時には
とてもドキッとして
緊張してしまった
けれど
それが果たして
恋なのか…
分からなかった
もしかしたら
「一瞬の恋をしたのかも
知れない」
「でも今日改めて
何か違う気がする…」
と友だちに話したのでした
**
その日の講義が全て終わり
友だちの下宿に
寄り道をしての帰り道
下宿の隣りの白いアパートの
1階の階段の方から
女の人の泣くような声が
聞こえました
私は気のせいかな…?と
通り過ぎようとした時
男の人の声で
「ごめん」と
聞こえました。
すると女の人の泣き声は
更に高くなり
私はドキドキしてしまい
友だちの下宿の方へ
戻ろうかと思っていたら
男の人の声が「じゃあ」と
言ったかと思うと
道路側へ
突然出て来ました
ロイヤルブルーさん
でした…
後について出て来た
女の人は知らない人でした
ロイヤルブルーさんは
私に気付かない様子で
急ぎ足で行ってしまいました
泣いていたひとは
ロイヤルブルーさんの
後ろ姿を見ていましたが
反対の方へと
歩いて行きました
私は
とても切ない気持ちに
なりました…
みんなそれぞれに
色々あるよね…
悲しいこと辛いこと
本当に色々あるもの…
勝手にそんなことを
思いながら
駅へと歩きました
**
駅に着くと
そこにはなぜか
笑顔の
Mくんがいました
え⁈
携帯はおろか
ピッチも無い時代です
なぜ?
また偶然?
不思議な顔をする私に
「家に電話をしたら
お母さんがこの電車に乗る
と思うよって教えて
もらって」
私
「あ…そうだったの
急ぎのご用?」
Mくん
「はい!急ぎです、すごく」
私
「そう…私、
なんだか分からない…」
Mくんは
紙袋を差し出して
「やっぱりこのシャツ
もらって欲しくて
似合っていたから…
だから
どうしても
着て欲しくて」と
今度は笑わずに
とっても真剣な顔で
言いました
つづく
・**・*・*・*・**・
この花は可愛いからと
摘んでしまうと
すぐに
しおれてしまいますね
自分が生き生きと
輝ける場所を
ちゃんと
探しているものですね
女は花であれ
賢く優しい花となれ
**+.° ♡ °.+**
恋は一瞬
愛は一生