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フォルセティ false-T

三澤紗千香さん関連のことを書いていきたいと思います。

ある夏の日の夜中、私はジョギングをしていた。
その日は調子が良かったので、少し遠くまで行ってみることにした。

曇り空で星は無く、冷たい風が虫の声を運んでくる。

心地よい熱を感じながら、足を進める。

10分ほど走ったところでふと道路沿いの茂みに目を向けると、奥に古びた神社を見つけた。
家からこんなに近くにあったのに、なぜ今まで気が付かなかったのだろうか。
そんな疑問を抱きつつも、折角だから参拝をすることにした。

神社全体が蔦や雑草に覆われているようで、石でできた鳥居から、建物までの石畳だけがかろうじて識別できるほどだ。

辺りはすでに暗かったが、ここへ来てさらに闇が深くなったように感じた。
先ほどまで騒がしかった虫の声も聞こえない。
神社は冷たく張りつめた静寂に包まれていた。

異様な雰囲気に、私はさっさと参拝を済ませて帰ろうと神社に背を向け、鳥居の近くまで来た時
「ドンッ!!」と首の辺りにものすごい衝撃が走った。殴られるというよりは、何だかフワリとした衝撃だった。
そのままギュッと締め付けるような感覚。

苦しい…。
冷や汗がダラりと、血の気の失せた頬から首筋を伝う。

何分が経っただろう。実際は数秒かもしれない。
とにかく謎の力からようやく私は解放された。

家にへとへとで帰った私は倒れるように眠ってしまった。

翌日祖父に神社のことを尋ねると
「あの神社はなあ、昔っから首吊り自殺をする人が絶えなくてね。
じいさんから、小さな子供まであそこでたくさんの人が首を吊ったらしいんだよ。」と話してくれた。

無事に帰ってこられたことに安堵しつつ、もう夜中にあの神社には近づくまいと思った。