1.買付証明書(購入申込書)とは

不動産取引の第一歩・物件の購入申し込みは、「買付証明書」を提出することから始まります。いわゆる「購入申込書」です。

買付証明書(購入申込書)とは、その物件の購入の「意思」を表したものです。そして、本番の売買契約に臨む上での条件調整をするたたき台になるものです。

しかし、買付証明書を提出したからといって、「必ず購入しなければいけない」というものではありません。買付証明書を提出した後でも、「やっぱり買うのをやめた」と撤回することができます。買付証明書には法的拘束力はないのです。

反対の立場の売主にとってみても、この「買付証明書」を受け取ったからといって、「この人が絶対買ってくれる」とは思っていません。もっとほかの良い条件を提示してくれる人を探したりもします。独占契約を証明するものでもないということです。

買付証明書を提出していても土壇場になって、売主側から「やっぱり売りません」とキャンセルされる場合も往々にしてあります。だからこそ、この内容の精査は(とくに金額は)とくに慎重に行いましょう。買付証明書は気軽な気持ちで提出しても、無駄撃ちで終わるばかりです。

2.買付証明書の書き方

買付証明書の書式には、とくに決まった形式はありません。形は自由です。形式は様々で自由なのですが、必ず盛り込まなければいけない内容があります。以下の4つの項目です。

<買付証明書に盛り込む必須項目>

希望する物件の名称、住所および面積
 土地、建物の広さの明示が必要な場合は記入しておいたほうが無難です。

 

購入提示金額(税込み金額)
 総額、手付金、中間金、残金について具体的に実行日がわかればできるだけ記入しておきましょう。

支払い方法
 「手付金」はいくらで、いつ実行(決済)するのかを具体的に記入しましょう。中間で実行する金額はいくらまでの範囲か、「残金」として金融機関のローンを利用予定している金額はどこからか、などを付記しておきましょう。

署名・捺印
 印鑑証明書を添付する必要はありませんが、三文判でないほうが好ましいです。

一般の商品を購入するとき、買い手は購入の意思を伝え、売り手の合意がなされれば当事者間の契約は成立したと見なされますが、不動産取引においては、専門的知見が必要であるという観点から、仲介業者が間に介入し、宅地建物取引主任者から重要事項説明(宅建業法35条書面)を受け、売買契約書(同37条書面)を交わし、手付金の授受を確認できて初めて正式な契約成立となります。(民法上では、お互いの意思表示だけで売買契約が成立します。)

つまり、買付証明書を提出しただけでは、法的実行力はなく売主、買主ともに契約に縛られていない状態であるということです。

ですから、売買の合意がなされた後でも、買主はその物件をキャンセルすることが出来ます。反対に売主も、より良い条件の買い手が現れれば、キャンセルができます。

3.買付証明書の内容

買付証明書への記載項目について、以下に詳しく説明します。

買付証明書の内容は、売主との条件交渉に影響するものなのでいい加減に記入せず、厳密にその内容を検討してから明記するようにしましょう。

購入金額

あくまでもあなたの投資の試算シミュレーション上で、「見合う金額」が適正な金額です。無理して見栄を張った金額を書く必要はありません。

購入金額とは投資金額のことだと意識してください。ネット上に出ている不動産投資体験談などに、「値引きが成功した話」がよく見受けられますが、ひとはウマイ話しか言わないものです。

さらには、「値引きし過ぎると後で取られる」というのが物事の原則です。他人の上手く行った話に惑わされることなく、あなた自身の投資金額に見合うかどうかで判断してください。

繰り返しになりますが、購入金額はあくまでもあなたの投資シミュレーション上で、「見合う金額」が適正な金額です。また、投資物件購入とはそういうものでなくてはいけません。くれぐれも「値引き話」に惑わされないよう注意してください。

現金での支払い割合とタイミング(支払い方法)

一般に購入代金の支払いタイミングは、手付金、中間金、残金の3つに分かれます。そして手付金の額は、「5%~20%」が相場です。

残金について、購入金額をすべて現金で行う場合は、契約と代金決済は同時に行います。また、残金をローン(融資)で行う場合は、契約締結後から12ヶ月以内で行うのが一般的です。

ローン(融資)の内諾が取れているか(ローンの停止条件)

ローンの停止条件とは、金融機関にローン(融資)の申し込みをしてNOとなった場合に、先に支払った手付金をペナルティー無しで返還してもらうという特約です。

いつまでがその停止条件の有効期間についても買付証明書に明記します。

売主からみると、その期間内はいつでも白紙撤回されてしまうという可能性があるものなので、手付金を入れていたとしても、その効力は下がります。

もし白紙撤回になった場合は、1)手付金の返却、2)契約書の解除の合意書作成、3)再度募集をかける、という大変な手間を売主は負います。この間に、他の条件のいい顧客を逃してしまっているかもしれないという機会損失の心配も生まれます。

では、これらの売主の不安を取り除く方法としては具体的に下の3つの方法があります。

・すでにローン(融資)の内諾をもらっているということを伝える

・自己資金を投入できる余地があるということを伝える

・担保に入れられる物件が他にあるということを伝える

瑕疵担保責任の有無

 

瑕疵担保責任とは、物件を購入した後に隠れていた不具合があった場合、売主が買主に対して負うということです。契約解除や損害賠償などの責任のことをいいます。

建物の瑕疵(かし)について、一般的に多いものは以下のような事案です。

・雨漏り
・雨漏りによる柱、壁などの腐食
・シロアリ
・建物自体の傾き
・床や壁、梁など建物の構造を支える骨組の傾き

 

4.瑕疵担保責任を負わない契約

建物自体があまりにも古い場合には、土地の値段が売買金額のほとんどになり、建物は無価値と判断されます。よって、瑕疵担保責任を負わない契約を取り交わします。

この場合、解体工事を前提とした取引になるので、解体工事費用を負担するのであれば、経費として忘れず計上していきましょう。ちなみに、建物を解体する場合、広さと延床面積にもよりますが、一般の戸建て住宅・2階建て(木造)で余裕をみて100万円前後です。

契約前にできるだけ建物の状態を調査することが理想ですが、調査費用がかかることや、建物の内部への立ち入りなどの問題から、なかなか実行には壁があるのが現実です。そういう点から、瑕疵担保責任を義務付けられている宅建業者を介入させて契約を運んでいくことを私はオススメします。

5.売買契約前までに確認しておくこと

 

1.固定資産課税(公課)証明書(土地(敷地権)と建物の両方)

物件購入後に負担することになる固定資産税と都市計画税がいくらなのかを確認しておくためです。
2.売却の理由(なぜこの物件が販売されることになったのか)
3.修繕履歴(内装はもちろん外壁、水まわり、給湯など)
4.賃貸借契約書および入居申込書7.謄本、公図、地積測量図、建物図面
5.建築確認概要書、検査済証、設計図書
6.上下水道図面、ガス埋設図面、道路図面、遺跡図面
7.隣接地要約書(測量図登記があればベスト)
8.共用光熱費、消防点検、清掃費の明細
9.告知事項(物件、入居者に関するもの)

下、集合住宅の場合

10.滞納者、退去予定者の情報
11.消防設備点検報告書、貯水槽清掃報告書
12.水道メーター共有の有無

6.まとめ

買付証明書のメリットは、購入したい物件を他に流れないようにひとまず押さえておく切り口になるということでしょう。

しかし、その記載内容については、充分に吟味して、提出後に不利にならないようにしておくことが大切です。

そのためには、ある程度、物件の概要を調査して、価格相場をはじめ、その特性を理解するとともに、ご自身の資力やローン返済の計画性なども想定しておきましょう。

これらをふまえたうえでの買付証明書は、不動産購入のプロセスの中で、とても有効に活用できるアイテムであるといえましょう。