学習性無力感は、長期にわたって、ストレス回避の困難な環境に置かれた人は、 その状況から逃れようとする努力すら行わなくなるという見解。学習性絶望感とも言います。
日本に紹介されたばかりの頃には、直訳に近い「獲得された無力感」と呼ばれていました。
【説明】
長期に渡り、人が監禁されたり、暴力を振るわれたり、自分の尊厳や価値がふみにじられるような場面に置かれた場合、そのような徴候が現れます。 被験者は、その圧倒的に不愉快なストレスが加えられる状況から、自ら積極的に抜け出そうとする努力をしなくなる。
実際のところ、すこしばかりの努力をすれば、その状況から抜け出すのに成功する可能性があったとしても、努力すれば成功するかもしれないという事すら考えられなくなります。
人の行動は、良かれ悪しかれ何らかの学習の成果として現れてくるものである、という学習理論を土台とした理論です。拉致監禁の被害者や、長期の家庭内虐待の被害者などの、 行動の心理的根拠を説明する理論として、注目されています。
【参考】
実験は1967年にセリグマンとマイヤーが犬を用いて行いました。 予告信号のあとに床から電気ショックを犬に与えるというものです。
犬のいる部屋は壁で仕切られており、予告信号の後、壁を飛び越せば電気ショックを回避できるようにしてあります。 電気ショックを回避できない状況を用意し、その状況を経験した犬と足でパネルを押すことで電気ショックを終了させられる状況を経験した犬の二種類の集団が用意されました。 実験ではその二つの集団に加え、なにもしていない犬の集団で行った。 実験の結果、犬の回避行動に差異が見られた。
前段階において電気ショックを回避できない犬はその他の集団に比べ回避に失敗したのです。
これは犬が前段階において、 電気ショックと自分の行動が無関係であると学習しそれを認知した為、 実験で回避できる状況となった場合でも何もしなくなってしまったと考えられます。
これをセリグマンらは学習性無力感と呼んだ。
by Ethan