EUとユーロ圏財務相会合が開催されたものの、市場の反応はいまひとつ盛り上がらず欧州債務危機への不安を払しょくするには至りませんでした。
ユーロ圏財務相会合ではスペインの財政赤字是正の期限を2013年から2914年へ一年間延長することで合意。また、1000億ユーロを上限とした救済支援のうち300億ユーロを今末までに支援することで決定するなど具体的な行動がみられました。しかし、EFSFによる南欧国債の購入や銀行への直接資本注入などの具体策は示されず議論は持ち越されました。銀行監督の一元化を優先させようとするドイツなど欧州北部の主張に圧された格好となりました。ドイツの主張にも一理あり、各国の足並みの乱れがユーロの上値を重くする要因となりました。
先月末に開催された首脳会議ではEFSFによる南欧諸国の債権購入やECBによる銀行監督一元化などが合意されただけに市場は早急の具体策を期待していました。更に、米国の雇用改善の遅れや中国の景気減速が市場の悲観的な見方を一層強めていると思われます。
しかし、見方を変えれば欧州問題も徐々にではあるものの前進していることも現実です。また、米国の雇用も10万人には達していないにしても穏やかに回復基調にあります。ユーロを買うにはまだ不安も残ることから上昇に転じるには暫く時間がかかるものの、ここから更に売り込む状況とも思えません。市場の注目は再び米国の金融政策と今日から始まる日銀会合に移り始めています。今日はFOMC議事録がNY時間に公開されます。一部のメンバーの緩和を示唆する意見が多く見られればこの状況ではドル売りに反応することになりそうです。
<ドル円>
ドルインデックスは今年最高値付近まで上昇しています。ユーロの下落が押し上げの背景にありますが、ドル円は今年の高安のちょうど半値付近でもみ合いが続いています。世界的な緩和政策が強まる中で今日から始まる日銀政策会合に対し市場の注目が集まります。市場は日銀に対し緩和実施には慎重な態度を示すとの見方が多く、今回は期待感が低そうです。逆に、何らかの追加緩和を示すようであれば円安に反応することになりそうです。ただ、FOMCを控え上値は50%戻しの80円付近で抑えられるとみてよいでしょう。結局ドル円の値動きは未だもみ合いの域を脱することはなさそうです。
<ユーロ円>
気味の悪い下げ方が続いています。すとんと下げては安値レベルでもみ合いが続くパターン。如何に上値が重いかを示すものです。下落の勢いは大分収まってきたものの上昇の兆しはまだ見えません。76.4%戻しの97円付近がクルーシャルポイントとみて下げ止まるか注目です。
<オージー円>
下げ止まるかどうかの微妙なレベルに差し掛かりました。対ドルでは1.0150(50%)、対円では80円55銭(61.8%)を下回ると79円ミドルまでサポートは特に見られません。
ここにきてユーロが利下げしたことでユーロキャリーによるオージー買いが強まっています。今後ECBが更なる追加緩和を示唆していることからこの動きは今後も継続するとみられます。豪ドルの下げも限られそうです。