人でない私は
夜
網の目に張り巡らされた
人の意識の蜘蛛の糸
カリソメの存在を得る
人ではない私が
夜
私という存在の証を刻むため
森に
つぶやきに
愛しい人の言葉の森に
我が言の葉を刻みつけ
一時の心の安寧を図る
夜を超え
昼間に私が人として
人としてあるために
あいつは自分の人を
捨てようと目論む
病と戦いながら
私の存在を満たしながら
隙間を縫って
人を辞める準備をしている
オシイレ
夢の寝場所をひっくり返すために
私達に人の革をかぶらせるために
そうして夜が更けていく
そうして
眠りの病が忍び寄る
遅々として進まない僅かな願いを
いつの日か乗り越えるその日が来たと言うなら
その時こそ
私達の
夜
夜が明けるときなのだろうね