本日、富士山の初冠雪の便りが届きました。
甲府地方気象台の観測で、1894年の統計開始以来最も遅い初冠雪となりました。
昨シーズンまでの最遅日は2016年10月26日でしたので、10日以上更新したことになります。
ちなみに最も早い初冠雪の記録は、2008年の8月9日でした。
昨夜から関東地方にも寒気が流れ込み、風も強くひんやりとした朝になりました。
急に季節が進んだように感じます。
それに相応しく?
本日は11月の第一亥の日、「炉開き・炬燵開き」の日です。
その理由は、亥は陰陽五行説では
「水」にあたり、「火」に強いので火事にならないとされているからです。
冬支度を始める日なんですね。
そして、亥の月の最初の亥の日の今日、亥の刻(21時〜23時)には「亥の子祝い」を行うご家庭もあるでしょう。
「亥の子祝い」は元々古代中国の行事にありました。
それが平安時代に日本に伝わり、全国に広まります。
当時は宮中の年間行事で行われてきました。
たくさん赤ちゃんを生む亥(猪)にあやかって子孫繁栄を願って祝うのです。
現在でも西日本を中心に受け継がれている風習です。
この時に食すのが異(猪)の子・うり坊に似せた「亥の子餅」です。
玄猪餅とも言われています。
現在では、菓匠「甘春堂」さんや「とらや」さん、「たねや」さん「仙太郎」さんが有名ですね。
その「亥の子餅」、『源氏物語』第9帖「葵」に登場します。
正妻・葵の上が六条御息所の生霊により出産後急死して四十九日が済んでまもなく、光源氏は密かに紫の上と結婚し、その新婚第ニ夜のことです。
「…その夜さり亥の子餅参らせたり。かかる御思ひのほどなれば、ことことしきさまにはあらで、かなたばかりに、をかしげなる檜破籠などばかりを、色々にて参れる…」
瀬戸内寂聴氏の訳によりますと、
「…その夜のことです。たまたま10月初めの亥の日に当たっていましたので、亥の子の餅を差し上げました。まだ喪中のことですから、大袈裟にはしないで、姫君の方にだけ風流な檜破籠(ひわりご : 檜の薄板で作った被せ蓋の容器)などに餅を入れて、様々な趣向をこらして差し上げたのです。…」となります。
8月に正妻を亡くして、11月に年若い新妻にうつつを抜かす男!
…げにえげつなきかな。