for-photo 写真撮影履歴の記録

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世間ではスマートフォンで撮影した写真が溢れている。焦点深度の小さい小型レンズを極小の撮像素子に投影し、歪や周辺光量不足を内部処理で補正し、さらに鮮鋭度、彩度、エッジを上げてHDR処理したりを自動で行い、どれも一見きれいだが、どこか不自然な写真が並ぶ。実際の被写体よりも鮮明で写り過ぎなのだ。AndroidならGoogleが買収したNikの処理ソフトが自動できつめにかかるように設定されているのだろう。フィルム時代から写真をやっている者にとってはどうもイライラする。もっと心穏やかに鑑賞できる写真はなんだろう、と思ったときに、PENTAXの85mmSOFTレンズを思い出した。往年の名器である。名器と言っても収差を補正せずに像をにじませてソフトフォーカスを得る、クセの強さを味とする、使いこなしの難しいレンズだ。そのホワッとした画像はデジタル1眼に着けてもしっかり再現される。その画像はまさに写り過ぎないのである。鮮鋭さが失われると、色の広がりや、描画の流れが如実に明確になり、その画の本質が楽しめると思う。ただし何を撮っても思い通りに行くわけではないので、使いこなしは難しい。

APS-CのPENTAX KPに取り付けると焦点距離は135㎜の準望遠レンズとなるため、それも難しい点だ。

今年の春に会社から少し行った元気あっぷ村の駐車場周りで撮影してみた。RAWで撮影し、Photoshopでは、色温度と少し彩度を上げたくらいにして、SOFTレンズのホワホワ感を減らさないようにした。特に安易にコントラストを上げるとSOFT感は失われるので注意。

菜の花は小さい花の羅列と茎の写り込みにより、アップで撮るとうるさくなるのだが、SOFTレンズの柔らかい描写でそれらが和らぎ、菜の花の春らしいやさしさが出ていると思う。f2.4

 

背景に桜の花を入れて菜の花は前ボケにした構図は、なかなか思い通りにならなかったが、こいう望遠で圧縮する状況では135㎜相当は便利。f2.8

 

桜でも花の間の枝がうるさくなるで、枝の写りの少ない構図を探すのが桜をアップで撮るコツだと思う。SOFTレンズの描写によって、ピンクの水彩画のように滲んだ色が面白い。f2.8

 

SOFTレンズも絞り込めば鮮鋭度が増すので、少し芯のある描写にもできる。独特のエッジの滲みが面白い。これらはf4で撮影。

 

いずれにしても、PENRAX-Mのマニュアルレンズのためマニュアルフォーカスとなり、ファインダー像もソフトになるためピントの山がつかみにくく難しい。そして絞りが連動しないので絞り込み測光となることもあり、いくらフィルム時代のマニュアル機の経験があっても、設定/確認でやることが多くて大変。

苦労も多いが、ときどき目を覚ますきっかけとして、写り過ぎない写真はこれからも手掛けることにする。

なお、このSOFTレンズは、ミノルタSONY-Aマウントに装着するコンバージョンレンズも持っているので、今度はSONY α900で使ってみようと思う。フルサイズなので焦点距離は通常の85㎜になり、もっと使いやすいだろう。ただ、コンバージョンレンズは中国の怪しい無名メーカー製で、バックフォーカスを合わせるための2枚のレンズを含むので、描写が甘くなる影響が大きい。SOFTレンズに使うならその影響は埋もれるかもしれないが、どう対処するかは撮ってみてから考える。

 

今回の撮影機材

・PENTAX KP

・PENTAXーM SOFT85mm f2.2