富士 足・心臓血管クリニック 院長

花田フットケアラボ 所長

花田明香

 

人々の足を守るために、最も必要なことはなんでしょうか。

 

医療の中でフットケアを始めるきっかけとなった、15年前に出会った患者さんのことを思い出します。

それは「ただの水虫」で始まりました。ところが亀裂ができ、小さな見落としと判断ミスが重なり、足が壊疽してしまいました。最終的に“名医”に出会って大切断は免れたものの、両足部の大半を失う結果に。その後患者さんは歩く気力を失い、弱っていきました。

 

「他の誰にも、こんな思いはしてほしくない」

足を救ってくれたその名医に憧れ、足のための専門治療を追求し、医療フットケアを施す毎日。そんな中、新たな気付きが生まれました。

「人々の足を守るために最も必要なこと。それは日常において当たり前のお手入れをして、トラブルがあればなるべく早くそれに気付くこと」

傷を治す“名医”の前に、そのように足を見守る人こそ本当の意味で足を救う存在なのだ、そう考えるようになりました。

 

当たり前の足のお手入れを、誰もが当たり前のように受けることができたら。病院にかかることも、足を失うことも、随分減るのではないでしょうか。そのために介護従事者の方たちが「足を助ける人」になってくれたら、どれだけ多くの人が救われるのだろうと思います。

 

一般社団法人フットヘルパー協会は、それらについて職種を超えて学ぶことができる場です。ここを通じて「足を助ける人」となられた皆さんに出会える日を楽しみにしています。