フットハットがゆく! -71ページ目

(第118回)鋭敏シャン

 
 久しぶりに会った知人(20代の女の子)の髪型がかわっていたので、
「お、髪型かえたん?かわいいやん…」
 といったところ、
「エクステみたいでしょ?」
 といわれた。
 僕はその『エクステ』という言葉を知らなかった。ドリカムやらマイラバ(ふ、古い…)的なバンド歌手の略語かなと思い、
「え?それ、最近の人?日本人?」
 と聞いてしまった。女の子はもちろん「は?」という顔。正直にエクステがどんなんか知らない、といったところ、
「ヘア・エクステンションのことですよ」
 という答えだった。ちなみにその言葉も知らなかったので、もっと詳しく聞くと、おしゃれ用の「つけ毛」ということであった。茶髪であったり、くりくりにカールしてあったり、エクステは若い女の子にとって大きなファッションアイテムなのである。彼女がいったのは
「この髪型はつけ毛みたいに見えるけど、実は地毛なんですよ…」
 という意味だったのだ。

 さて、僕は嬉しがりなので、そういう言葉を覚えるとすぐに使いたくなる。そしてつい先週のこと。仕事が忙しくて散髪に行けず、ぼさぼさになった頭で人に会ったら、
「ずいぶん髪が伸びましたね!」
 といわれた。ここぞとばかりに、
「おう、実はこれエクステやねん」
 と冗談でいってやった。
「どこがエクステやねん!」
 とつっこんでほしかったのだが、その人は
「エクステって何ですか?」
 と聞き返してきた。
「つけ毛のことや!」
 というと、その人は目を丸くして「へ~」といった。そしてどぎまぎした目線で
「知らなかったもので、すみません…」
 といった。その人の発想では、「男のつけ毛=かつら」だったようだ。

 さて今、若い女性のファッションリーダーといえば。「エビちゃん」である。
 エクステがわからない世代にしてみれば、え? 市川海老蔵(イチカワエビゾウ)? 蛭子能収(エビスヨシカズ)? とか思ってしまうのだが、それはエビ違い。「エビちゃん」とは雑誌「CanCan」の専属モデル、蛯原友里(えびはらゆり)さんのことで、某ハンバーガー店のエビバーガーのCMで一躍全国規模の人気者になった。
 化粧品からお菓子まで、若い女性がターゲットの商品CMは総なめ状態。シャン(美人)に鋭敏な人もそうでない人も、
「エビちゃん、エビちゃん」
 と騒いでいる。
 かくいう僕も嬉しがりなので、化粧品メーカーのホームページにいって「エビちゃん」の壁紙をダウンロードしたりして、時代に乗り遅れないようにしている。

 明らかにエビちゃん意識の若い女の子と仕事で一緒になったりすると、
「よ!エビちゃんに似てるね!」
 といいたくなるが、最近の子はプライドが高いので具体的な名前を出すといやがる場合がある。そんな時は、
「お!なんかCanCanのモデルになれそうやなぁ!」
 と褒めることにしている。

 ちなみに、サッカー日本代表監督に新しく就任したイビチャ・オシム氏は、一部マニアの間で「イビちゃん」と呼ばれている。

2006年10月1日号掲載 


蛯原友里
蛯原友里 1979~
宮崎県出身のファッションモデル。通称「エビちゃん」

追記・・・美人の典型「エビちゃん」…。一時期、本当にエビちゃん壁紙を使っていました(笑)。


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