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(第187回)不安ブル3

 
 生まれ変わってその虫になってしまったらどうしよう?不安でブルブル…ということで、人間の常識からは考えられないような昆虫の生態を紹介するシリーズ最終弾は、二匹の虫の一生について考えてみます。


短命?長命?『セミの一生』 フットハットがゆく!-セミの脱皮

…先日、甥っ子と山登りをしたとき、セミがよく鳴いていたので
「セミはどれくらい生きると思う?」と聞くと、一週間、との答えでした。
 もののあはれ、はかなさの代表にあげられる短命イメージのセミですが、その寿命は3年から17年といわれています(種類によります)。日本で最も一般的なアブラゼミで6、7年といわれます。
 セミのメスは木や朽ち木の隙間に卵を産みます。翌年孵った幼虫は土中に潜り、木の根っこから樹液を吸い取って生きます。土の中でぬくぬく過ごすと思われがちですが、モグラ、ケラ、など天敵も多く、そりゃぁどんな世界でも、生きていくのに楽ばかりなんてことはありませんよ。で、何年も何年もかけて、あの抜け殻で有名な幼虫の形になります。そしてついに土を出て木に登り、最終脱皮をして成虫になるんです。
 成虫になったらなったで、鳥、スズメバチ、虫取り少年など天敵も多く、そりゃぁ一週間くらいで死ぬ場合もあるでしょうが、普通は一ヶ月ほど生きるそうです。セミは他の昆虫と比べ飼育が非常に難しく、飼おうとするとすぐ死んでしまうので、一週間しか生きない、という俗説が出来たそうです。とにかく、日本では一年虫(一年しか生きない虫)が大多数であるのに対し、6年も7年も生きるのはかなりの長命だといえますね。



フットハットがゆく!-カイコ フットハットがゆく!-カイコのマユ フットハットがゆく!-カイコガ

幸せ?不幸せ?『カイコの一生』

…カイコはガの仲間で、絹糸(シルク)をとるために人に家畜化された虫なので野生には存在しません。仮にカイコを森に逃がしても、枝につかまることさえ出来ず、白色で防衛本能がないためにあっという間に他の動物の餌食に…。五千年もの昔から人に飼われてきたカイコは、人が育てないと生きていけない虫なのです。
 カイコの幼虫は人に与えられた桑の葉をモリモリ食べて育ち、やがて口から糸を吐き出してマユを作ります。幼虫はマユの中でサナギになり、羽化した自分を夢見て眠っているわけですが、人はそのマユを熱湯にぶち込んで茹でます。そしてほぐれたマユ糸を紡いで絹糸にするのです。
 死んだサナギはコイやニワトリ、ブタなどの餌にされます。国によっては、そのサナギを人が食べる場合もあります。タンパク質たっぷりで美味しいらしいですよ。
 繁殖用にマユを破って出てきた成虫のカイコガは、羽が退化して飛ぶことが出来ず、食べ物を食べるための口もありません。飲まず喰わずで生殖活動を行なうのみです。ガになっても防衛本能はなく、人が近付くと寄って来るそうです。
 成虫の寿命は約十日、生まれてから死ぬまで約五十日という一生…。人なしでは生きていけず、さんざん利用されて殺されても逃げるどころか寄って来る虫。彼らは幸せなんでしょうか?不幸せなんでしょうか?

2009年9月1日号掲載 



フットハットがゆく!-ファーブル画像
ファーブル 1823~1915
フランスの生物学者。「ファーブル昆虫記」が有名


追記・・・観賞用以外で人間に飼われる昆虫といえば、カイコとハチが有名ですが、特にカイコは完全に家畜化させられているので、すこし気の毒な気もします。
写真は全てWeb拾いデス。


完訳 ファーブル昆虫記 第1巻 上完訳 ファーブル昆虫記 第1巻 上
(2005/11/25)
ジャン=アンリ・ファーブル

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