愚者の雑記

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CHEMICAL SECRET

これを読んだ感想として、とにかく胸糞わるい。

Johnの待遇があまりにも悪い。彼は生化学者で自社の塗料に責任を持たなければならず、それがもたらす影響を知りつつ隠蔽することは許されなかったことだろう。
ただ、彼が職を得るまでの金善的境遇を考えるとDavidの誘いに乗ってしまうのも(乗らざるを得ない)のも無理はないと感じられた。家庭をもつ者が給料あるいは家庭と正義を天秤にか

け正義をとるのは難しいだろう。彼の場合は自分の年齢の問題もあった。

このことに対してJohnの娘Christineとの対話がなされれば物事がより良い方向に進んでいたのではないだろうかと思われた。だが、この娘も娘であり、父が仕事を得たからこそ良い暮

らしができたはずなのに、後半での父との口論ではそのあたりが全く言及されていない。おまけに巻末では父と口すらきかなくなる。この女は自分の周辺しか見えていないのだろうと感

じられた。年頃にもなったのにまだ父から子ども扱い…のような描写もあったが、この世の父、母、兄、姉とはすべからくそういうものだと思う。

Christineの旦那Simonもまぁ…なんで危険物質流れる川に身重の妻を連れて行ったのか。これについてJohnとの口論がなされなかったことも興味深い。

これらから、物語の登場人物すべての責任がただの1生化学者であるJohnにかかってきており、それが不憫だった。