アルメニア生まれレバノン育ちの義母は敬虔なキリスト教徒で教師の両親の間に長女として生まれました。
両親が厳しかった為、なかなか結婚も許されず、結婚するなら勿論キリスト教徒で真面目な方でないと許されなかったようです。
その為か義母はその年代には珍しく30代半ばで結婚、出産はいわゆる高齢出産でした。旦那を出産した時には40を過ぎており、今でこそ40歳過ぎてからの出産は珍しくはないですが、当時は珍しかったのだと思います。
そんなに厳しい両親がよくオーストラリア行きを許してくれたと思います。義父とはオーストラリアへ移住した後に教会で出会い結婚しました。

旦那が小学生の時に両親が離婚。それまで義母は義父の仕事を手伝い、3人の子供を育てました。オーストラリアでは幼稚園、小学校や中学校など学校へ通う時は親御さんの送り迎えが必須なのですが、その送り迎えも仕事の傍ら全て義母がしていたと聞きました。そんな中、義父の浮気が発覚。どうやら義父は全財産を浮気相手に費やしてしまったようで子供達へ養育費を支払うことが出来ず自宅を売却することになりました。一気に一文無しになってしまった義母は必死に働き子供を育て上げました。

そんなドン底に義母や子供を落とした当の本人は浮気をした事を心の奥深くに閉まっているようで彼もまた精神的に病んでいるようでした。

私はある日、義父と一緒にランチをしていました。たまたま近所の方の話題になり義父の話に驚いた。

「近所の〇〇サンなんだけど、御主人の浮気が発覚したんだって、とんでもない奴だよ。信じられない!」

「……。」

貴方も浮気したんですけどね。前妻と成人した貴方の子供が今でも苦しんでるのご存知でしょうか?と心の中で思い無言になってしまった。
そんな私を見て義父は
「あ!…」と思ったようで彼も無言になってしまった。

私は少し安堵した。彼は離婚した事を忘れてはいなかった…。