「できるレストランの過ごし方と2008年の食のトレンド」講座。
「できるレストランの過ごし方&2008年食のトレンド情報」
フードアナリスト協会 新春セミナー
2008年1月12日(土)10時半~11時半
日本フードアナリスト協会セミナールーム
非会員:3000円
会員 :1000円
日本フードアナリスト協会の新春セミナー「できるレストランの過ごし方&2008年食のトレンド情報」に行ってきました。講師はフードアナリスト協会理事の高賀元正先生。食品スーパーや外食企業、アパレル企業の役員を歴任された方です。
フードアナリストの間では「会長」「右近さん」としてあまりにも有名です。
この日は1時間半の講座が3連続あります。東京は霙交じりの雨の中、多くのフードアナリストが千代田区麹町の日本フードアナリスト協会のセミナールームに集まってきていました。
講座の内容は食のトレンドとレストランの過ごし方といったフードアナリストとしての基礎知識と教養。
それでは、講座の内容について少しレポートをしてみます。
最近の食のトレンドは「3F」で表されます。
1.フュージョン
2.フルーツ
3.フレンドリー
それでは、今年2008年に限って食のトレンドを予想すると「3C」になりそうと高賀氏は言います。
1.チャイナ
2008年は北京オリンピックの年。ヌーベルシノア(新しい形の中華料理)が再度、注目される年になりそう。
2.クリーン&クリア
天ぷら、寿司、カウンターなど対面でキッチンが見えクリーンな厨房がクリアに見渡せる。そして対面で料理人と対話楽しむ、といった形態のレストランが流行しそう。また昨年の「偽」に対してクリーンでクリアな(真の)食材や食品が再度注目されそう。
3.カルチャー
日本独自の伝統的な食文化が注目される年となりそうです。たとえば江戸文化、京都文化といったものから郷土文化に根ざしたレストランや飲食店が流行しそう。
このほかにレストランでのマナーや過ごし方についても学びました。
カトラリーの語源は「カット」=ナイフから。カットするというものです。ナイフの後は13世紀にスプーンができました。フォークは最初に使われたのは14世紀のイタリア。スパゲティをからめる為に発明されました。旧メディチ家のがフランス王室にと嫁いでフランスから全ヨーロッパに広がりました。ちなみに箸置きのようにカトラリーを置くものを「シルバーレスト」と言います。
飾り皿は英語でショープレート。フレンチではプレサダシオン。イタリア語ではソットピアット。前菜は英語でオードブル。イタリアではアンティパスト。フランス語では、アントレ。スープは英語でフレンチでは「スプ」、イタリアでは「ズッパ」(煮込み料理もズッパということもあります。)
チーズはフランスではフロマージュ、イタリアではフォルマッチョ。
お通し、付き出し、前菜からメインディッシュ、チーズかト食後酒まで何と言いますか。
バターは日本語で「乳油」
デザートは「食後の甘いもの」と訳します。(としか言い様がないそうです。)フランス語ではデセール、イタリア語ではドルチェ。
日本語、英語、フランス語、イタリア語での言い方を表でまとめたものを見ながら説明をされました。なんとなくフランス語なのかイタリア語なのか(英語なのか)はっきりしなかった知識がそれぞれの国の料理の形態を頭の中が整理されてすっきりしました。
こうした比較表は高賀氏のオリジナル。どこの本にも載っていません。イタリアンやフレンチのレストランに直接聞いて調べたりしたそうです。
ちょっとした知識・教養ですが、こうしたことを「きちんと整理をして」学べるのがフードアナリスト協会ならでは、だと思いました。
「なるほど」と納得が出来る内容で楽しく講座を受けることができました。
「味覚を数値化する」を学ぶ講座
1月10日(水)日本フードアナリスト協会セミナールーム(東京都千代田区麹町)にて
「味覚センサーを活用した味を数値化するソリューション」をテーマとした講座が開催されました。
講師は、株式会社味香り戦略研究所の小柳社長。味覚センサーを取り扱っている会社の社長さんです。味覚センサーとは九州大学が開発、株式会社インテリジェントテクノロジーが製品化した世界初の味覚を測定するセンサーです。
味覚センサーは「おいしさ」の重要な構成要素となる基本5味覚(旨味、苦味、塩味、酸味、甘味)に渋味を加えた基本味を数値化し、客観的に表現することを可能にした画期的なマシーンです。その技術は、人間の舌を模した「脂質膜」を用い、その電位差によって味の強弱を測定する仕組みです。
フードアナリストの分野でも味覚というのは、難しいテーマです。東京農業大学の川端晶子先生はフードアナリスト協会主催の講演会(2007年11月23日)で
「おいしさとは、生理的・感覚的なものを不可欠な媒体とするが、単に生理的・感覚的な次元に成立するものではなく、それを基盤としながらも、そこを超えて知的・文化的次元に成立する」
と規定されていました。日本フードアナリスト協会としての見解も川端試験委員と同じです。
古来より「おいしさ」「味覚」についてのアプローチは様々にされてきましたが、IT技術の発展により人間の舌を模倣した技術で人間の感性に近い数値を得ることが味覚センサーによって可能になりました。
小柳社長の講座の内容は、中学や高校のころの「生物」「物理」「化学」の時間を彷彿とさせる数値とグラフと実験結果の表のオンパレード。コーヒー、ビールから焼酎やフレンチレストランの味覚まで、小柳社長のところではもうすでに2万件以上のデータが蓄積されていると言います。それらを具体的に、たとえば○○というメーカーの○○というお茶は渋味が強く甘味が少ないといったデータを表を見ながら説明をしていただきました。
他にも「地域によって醤油の嗜好がどう違うか」「焼酎の味トレンド」「中国と国産の乾し椎茸のテイストマップ」「年代別でコーヒーの味覚の嗜好はどう違うか」など。緑茶飲料やビールやポテトチップスまで具体的なメーカーと商品名入りで(笑)客観的なデータを披露していただきました。
数値や実験結果表など内容はかなり高度なんですが、講座を受講されたのはさすがにフードアナリスト。かなり熱心に講義を聴いていらっしゃったのが印象的です。かく言う私も、あっという間に時間が過ぎました。やはり好きで興味のある話となると苦手な理科も苦にならない、ということを改めて実感しました。
具体的な名前はちょっと公表できませんが、最近の食の嗜好のトレンドやマーケティングへの活用、新商品のコンセプト作りなど数多くの利用方法が考えられます。
最後には実際に、南アルプスの天然水」「コントレックス」「エビアン」の3種類の水を受講生全員で試飲をしました。
「どれが一番やわらかく感じますか?」「鰹節のダシを抽出するのに適している水は?」「海洋深層水はどれ?」
味覚センサーが示す硬さ、やわらかさ、塩味、苦味などの表を見ながら受講生はただただ感心感動でした。
当日、取材に来ていただいた読売新聞さん、日経トレンディさん、日経レストランさん、FM北海道さんの記者の方々も熱心にメモを取って聴いてくださっていました。
終わった後も、興奮冷めやらないフードアナリストに質問攻めにあいながらも誠実に答え続けていらっしゃった小柳社長の姿が印象的でした。
近いうちに第二弾「味覚センサー」講座も予定していますので、今回人数の関係で参加できなかった会員の方、ご期待ください。
日本フードアナリスト協会とは
フードアナリストとは?
食・食文化を体系的に学び、単に味覚だけでなく、レストランの内装・インテリアや料理の歴史・レストランの法律まで、総合的に段階的に学び、レストランや料理飲食店を格付けする知識と素養を身につけた、食・食空間を評価・分析する専門家です。レストランや料理飲食店に行って、利用者の立場で実際に飲食サービスを受け、料理の評価だけでなく、サービス、安全性、雰囲気を総合的に評価して「1つ星」から最高で「5つ星」までの格付けをし、推奨飲食店を主にインターネット上で公開します。幅広い知識を身につけたフードアナリストには、食に関する様々な分野での活躍が期待されています。現在アジア最大のショッピングセンターのプロデュースや大手食品会社の商品開発・販促プロモーションのアドバイス、飲食店のサービス改善に必要なミステリーショッパーやレストランの衛生調査員、雑誌・専門誌での記事の執筆、カルチャーセンターでの講師等活躍の場が広がっています。食の専門家であり消費者サイドの視点を身につけたフードアナリストには多くの分野で注目されています。現在、食に興味のある方から、食にかかわる専門の方まで幅広く学習されています