ふうの贈り物 -38ページ目

ふうの贈り物

~ こころに小さな幸せをお届けします。送料:無料 ~

(前置き:ごめんね、

     年寄りは話が長いらしいよ・・・。)

 

今朝の通勤途中の

住宅街でのことです。

 

それほど広くない道が碁盤目になっていて、

毎日気の向くままに曲がっていますが、

ずっと先の方に、

地面に人が足を投げ出して座っているような

そんな黒い影が見えました。

 

誰か体調が悪くなったのかな

と思って目を凝らしましたが、

あまり視力が良くないので

よくわかりませんでした。

 

人のような気もしますが、微動だにしません。

黒いごみ袋が何個か積み重なっているのかも

と、定かではありませんでした。

 

ただ、そのそばを何人も通り過ぎています。

自転車の人だったり、歩いている人だったり、

道の反対側で掃除をしている人もいます。

 

でも、誰もその物体の方に顔を向けません。

ちらりとも。

やっぱり黒いゴミ袋?

 

と思ったら、そのゴミ袋の山が

てろんと崩れました。

あ、倒れた?

 

私はどんどん近づいているわけですが

一向に何だかわかりません。

 

私はもう次の角で曲がるのですが

もしも人だったら、と思うと

知らないふりもできません。

 

直進して、ごみ袋に近づきました。

 

やっぱり人でした。

なぜ誰も顔を向けなかった?

かなり危ない人なのか?

 

髪の短い、体格のいいおじさんでした。

横たわって携帯の画面を見ていました。

酔っているわけではなさそうです。

が、完全にTVの前のお茶の間体制。

 

気分が悪いわけではなさそうです。

何かしらハンディキャップがあるようです。

 

くつろぐのは自由かもしれませんが、

ただ、場所が悪い。

角を曲がってきた車が、

気づかず引いてしまう位置です。

 

声をかけても大丈夫な相手か

躊躇もしましたが

そばで掃除をしている人もいるし

何かあった時も何とかなるかなと。

 

―大丈夫ですか。

おじさんはゆっくりこちらを見て、

うなずきます。

(おじさんといっても、私よりは若いのですが。)

―そこにいると、危ないですよ。

 車が曲がってきたらひかれますよ。

 

おじさんは特に表情を変えるわけでもなく

丸い目でこちらを見て、またゆっくり

携帯の画面に目を落とし

横たわったままです。

でも話は伝わっているような気がします。

 

もう少し具体的に話してみることにしました。

―そこだと危ないから、もう少しこっちにしたら。

と、同じく日陰の、1mほど奥の位置を提案しました。

 

おじさんは、またゆっくりうなずきました。

納得したらしく、少し立ち上がろうとしました。

ふとみると、おじさんはもう片方の手に

診察券らしきものを持っていました。

 

「すみませんねえ」

と走り寄ってきたのは、先ほどから

ほうきで道を掃いていたおばさん。

よくみると病院のスタッフが着るような

ピンクの制服を来ていました。あ、そういうことか。

―こちらの方(=病院の患者さん)ですか。

「そうです。すみません。」

 

気がつかなかったのですが、

反対側に病院があったようです。

どうやら、おじさんはその病院が開くのを

待っていたようです。

(あとからネットで確認したら、病院ではなく

介護施設でした。)

 

とりあえず、保護者?がいたということで

私はその場を離れました。

 

こんな暑い日に、まだ時間外だからといって

外で待たせるなんて、しかも、

地面に寝転んでしまうような、

普通のことが分からない人を

放置するなんて、どういう所なのだと

人ごとながらちょっと憤慨しましたが、

いろいろ、どちらにも事情はあるのでしょう。

 

心理系の知人にその話をしたら、

親切心で声をかけたのかもしれないけど

精神的に問題を抱えている人は、

そこは危ないよと、言われただけでも

自分を否定されたと思って

攻撃的になる場合があるから、

何が引き金になるか分からないから、

気をつけなさいと言われました。

 

そうか、気をつけようと思いながら、

結局やっぱり声はかけてしまうのでしょうけれど

ただ、何か言われると攻撃的になる人は

結構身近にいるような気もします。

 

「地雷」を踏まないよう気をつけましょうね。

え?そんなお話でしたっけ。

 

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