人に教える。
ことでして。
まあ、先生、という類のことですな。
この仕事で、２５年以上、お金をいただいているわけなのですが……。
わたしの特性といいますか。
今、はやり用語で言いますと、「強み」といいますか。
わかっちゃう。
のです。
例えば。
わたしの目の前にいるこの人は、
何が足りないのか。 何をどうして欲しいのか。 あるいは、何をしてほしくないのか。 自分をどう見せたいのか。 こちらをどう思っているのか。 本気で言っているのか、多数に機械的に言っているのか。えとせとら・えとせとら……。
同年代とか、年上とか。
あと、向こうに仕事がらみの思惑があるときは、どうでもいいの放っておくほうが多いのですが……。
だって。
そんな、面倒なのに付き合ってられませんからね
こっちを「自分が手に入れられるであろう金額」、
にしか換算していない人間て不愉快だし。
「仕事をこの人から取れるだろうか」、
と考えてばかりいる人は、うっとうしい。
「この人ばかり、いいわね」
と、嫉妬オーラを出している人は、放っておけばいいし。
ただ。
相手が、学生で、
「本当の自分を押し殺していて、それがマイナスに作用しまくり」
だと、一言言わずにはいられないのです
別に、
今のあなたは、本来のあなたでは、ない。
即刻やめて、本来の自分に戻るべきだ。
仮面をかぶったあなたなど、あなたではないし、価値もない。
な～～～～んて、言うわけではありません
一人、一人にそれぞれ。
言い方やアプローチを変えるのですが……。
そんな一人と。
ようやっと、一対一で話せる機会がありまして。
あまり、態度の良くない子、と言われていた彼女。
確かに、とっつきは悪いのですが、決して、冷たさがあるわけではない。
斜に構えているわけでもないし。
ただし、意欲はない……。
糸口がうまく見つかりまして。
あれこれ話し出してくれたのですが……。
ああ。
そんな悩みがあったのだと。
そんな事情があったのかと。
こうしなさい。
ああしなさい。
と、頭ごなしに言うのは簡単だけれど。
彼女の思いも状況もすべて見据えて、今はどういう道があるのか。
それを越えたあとで、どのような道を考えることができるのか。
誰にも、話せなくて……。
ちょっとすっきりしました。
そう言って、笑顔で帰っていく彼女の未来が。
少しでも、幸せの多いものであって欲しいと願うわけで……。
人を教えるということは。
その人の人生の何パーセントかに、責任を持つことだと、わたしは思っています。
先生とは。
金もうけではなく。
例え１パーセントでも、自分より、教え子のためを考えられる人であり。
動ける人だ、とわたしは思います。
先生に会えて、良かったです。
なんだか、心が軽くなりました。
そんな言葉を、このところいくつも貰って。
分かるから。
一言をかけてあげられるのだけれど。
ほらほら。
そこの、ずれを引きずっているあなた。
あなたのことも。
わたし、心が痛くて仕方ありませんの。
そう思いつつも……。
相手が学生じゃなくて。
言っても届きそうにない相手には黙ってる
