例えば素晴らしいバレエのステージを観たとして
つま先から頭頂部まで綿密に魅せてくる身体的な美しさはもとより
技術、表現力、芸術性、息づかい、
あらゆる方向、角度から訴えかけてくる
あらん限りの魂の表出に心打たれ
我々はその美しさに酔いしれる
その背後にどれほどの試練があったのか
終わりなき練習、たゆまぬ努力、挫折、けがや故障との戦い
痛みや疲れは平常運転、スランプと向き合い
失敗の恐怖を乗り越える
それは計り知れないほどのいばらの道であったはず
しかしそんなことは一切語らず
お首にも出さず
まるでトゥシューズをはいて
くるくると回りながら生まれてきたかのように
いま神からおろされた美の存在をただ自らの身体を通して披露しているに過ぎないとでもいうかのように
軽やかにたくましく、喜びにあふれ
その語られぬとも訴えかけてくる背後の諸々を補って余りある美しさでもって
本番をやりきる
これこそが
わたしが心震えて平伏してしまう芸術のなせるわざなのではないかと思う
わたしは美しい文を求めている
本来ならば完成され、芸術として表に出てくるものなのではないのか
苦しいとか書けないとかこうすべきかああすべきかという葛藤などは
チラシの裏でやれ