1ヶ月ぐらい覚醒剤漬けの生活をしてみれば、それがどんなに下らないことかわかるよ。最初の1回ぐらいだ。楽しめるのは。水で溶いた結晶の入った注射器を浮きあがった静脈に打ち込む。注射器の中に血が逆流して流れ込む。それをゆっくりと血管の中に押し込んでいく。その時だけだ。ふーっと身体から力が抜けて少し楽になる。あとは何かすること。身体を動かすなり物を書くなりギターを弾くなり、好きなことすればいい。ただ目を覚ましてるだけなら楽しくも何ともない。3回ぐらいで売人のくれた注射器は使い物にならなくなる。坂口安吾のように注射を嫌って当時薬局で買えた錠剤があればまだマシかもしれない。しかし安吾さんも競輪の判定にカラんだり相当おかしくなってたのはクスリのせいだろう。売人がつけてくれたsingle use onlyのインシュリン用の注射器を何回も使うなんて、自分をボロボロにしてるだけで、こんなことやってたら死ぬわ、って思う。気持ちよくなるためにやってたつもりが、苦しいだけになる。やってられねぇや、って思ってながら、まだ使うのが依存症ってやつなんだろう。