
YouTubeやSNSどころか、インターネットすらダイヤルアップの時代。地方都市で暮らす学生の情報源は主にテレビや雑誌が全てでした。僕は、高校生から大学生にかけてずっとrelaxという雑誌を読んでいました。ファションや音楽、家具にデザイン、そして可愛い女子といったなんでもアリで、作り手が楽しんでいる感じがひしひしと伝わってくる雑誌であり、自分のバイブルでした。
その中でも、ひときわ自分のツボをついたのが「渋谷直角」というライターさんの文章。relaxの中では「a girl like you」という女優やアイドルといった可愛い女子について、妄想を織り交ぜた紹介文章を展開していたアレです。

初めて読んだ時は、衝撃的でした。「マガジンハウスの雑誌でこんなふざけた(いい意味で)文章を載せてもいいんだ」と感じ、次の瞬間には渋谷氏の文章のファンになっていました。男が隠していたいと思う中ニ病の感性を全面に押し出した妄想は「そうそう!」と共感をし、男子代表として臆する事無く発言をする渋谷氏の言葉を毎回楽しみにしていた事を思い出します。

そんな、自分のバイブルであったrelaxのライターさんであった渋谷氏のコラム&エッセイ本が発売され、一気に読みました。内容は「ロベルトノート」という渋谷氏のブログからのセレクト集で、日常の面白い出来事等が綴られています。それにしても、よくもそんなに日常で面白い出来事が起きるなぁと関心するほどに次々と事件が発生するのですが、一つには観察眼や好奇心が優れているだろうと思います。自分だったら、見落としてしまう日常における非日常の瞬間を切り取り、面白おかしい文章としておこせるあたりが流石のセンスだと思います。
テキストで笑ったのは脚本家の大宮エリーさんの「生きるコント」以来ですね。難しい本を読んだ間の息抜きにでもどうぞ。
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