- W/F ダブル・ファンタジー/村山 由佳
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これもずーっと読みたかったやつで、最近になってやっと巡り会いました。
村山さんの作品については、私は結構激しく好きなやつとそうじゃないやつに分かれていて、「夜明けまで1マイル」と「すべての雲は銀の…」はかなり好きだったんですけど、「天使の卵」とおいしいコーヒーシリーズは、うん、あんまり。
で、「ダブル・ファンタジー」はどうだったかというと…ものすごくってほどではないけど、それなりに好きでした。
うん。
なんか村山さんの作品と言えば「青春」ってイメージが私にはあるんですが、「ダブル・ファンタジー」は30半ばの大人の女の話で、それも中心はセックス。もうこれでもかってぐらいセックス三昧でした。
まぁでも、もちろん、官能小説じゃないですよ。
主人公の奈津は、売れっ子脚本家で、まぁ好きな仕事でしっかり成功を収めています。そして結婚もしていて、子どもはいないけど、旦那がひとり。その旦那は、奈津が仕事に専念できるように結婚後プロデューサーの仕事を辞め、主夫として家の中をきりもり。そして奈津の仕事のマネージャー的な役割も果たしています。
こう書くと、ものすごい天国のような生活を送ってるんじゃないか、奈津は!って感じですが、実際、奈津の気持ちはそうではなく、ただ売れるモノを書き、夫の機嫌を損ねないように自分を抑圧しながらの生きている訳です。
そんな奈津の転機となるのが、奈津の尊敬する天才劇作家の志澤とのメールのやりとり。
始めはこれが長々と続きます。
そしてまぁ、予想通りの展開になります。あっさりと。
私はこの志澤が始めから生理的にすごく嫌だったので、この辺は読んでてかなり辛かったです。
でもこの後はあんまり出てこないのでご安心を!
何はともあれ、彼との関係から、奈津は変わり始め、十年以上続けてきた生活にピリオドを打ちます。
その後は、まぁ一人気ままに好きなように生きていきます。色んな男達と関係を持ちながら。
奈津はものすごく性欲が強くて、淫乱と言えば淫乱かなぁ。
話が進むにつれて、どんどん本能的になっていく感じがします。
やってることは不道徳なのかもしれませんが、まぁ、あんな性質だったらしょうがないよねって感じです。奈津みたいな人が自分に素直に生きてしまったら、ああならざるを得ない。
最後もハッピーエンドでもなく、絶望的でもなく。
ただ人の心って言うのは絶対に移り行くもので、そこがまぁ残酷だなぁという感じです。
旦那さんとの関係の描き方が一番よかったなぁ。