労災認定の過労死、昨年は5年ぶり150人超…企業への「防止計画指導」は42件

厚生労働省による過労死など重大な労災が相次いだ企業への「防止計画指導」が、昨年度の1年間で42件に上ったことがわかった。昨年度の過労死や過労自殺(未遂含む)による労災認定件数は5年ぶりに150件を超え、重大な労災を繰り返す企業名の公表などを求める声も上がる。

労災認定の過労死、昨年は5年ぶり150人超…企業への「防止計画指導」は42件

労災認定された過労死・過労自殺(未遂を含む)件数の推移


 厚労省は昨年4月から、過労死などの重大な労災が3年以内に2回以上起きた企業などに対し、「防止計画指導」を行う取り組みを始めた。

 指導された企業は都道府県の労働局に再発防止計画を提出し、1年にわたって実施状況の確認を受ける必要がある。厚労省によると、導入初年度となった2024年度の指導件数は42件に上った。

 15年12月に大手広告会社・電通(東京)の新入社員だった高橋まつりさん(当時24歳)が過労自殺するなどして過労死は社会問題化したが、その後も後を絶たない。24年度に過労死・過労自殺(未遂を含む)として労災認定されたのは159人と、19年度(174人)以来5年ぶりに150人を超えた。一方で、精神疾患が原因の労災も年々増加しており、24年度は1055件と、10年度(308件)の3倍以上に達している。

 背景の一つに、是正が進まない長時間労働があるとみられる。厚労省の調査では、24年度は全国の1万1230事業所で違法な長時間労働が発覚。うち半数近い5464事業所で「過労死ライン」に当たる1か月あたり80時間超えの時間外・休日労働が確認されたという。

 厚労省は「防止計画指導は再発防止を目的とした行政指導で、事件化されて企業名が公表されるケースとは異なる」などとして、企業名や事案の詳細などを公表していない。ただ、過労死弁護団全国連絡会議幹事長の玉木一成弁護士は「過労死を出した企業への目は厳しくなっている。防止計画指導を受けたのに再び重大な労災が起きた企業は公表対象にするなど、抑止力のある対応も検討すべきだ」と指摘する。