今やこの戦争の核心は、誰が戦争のコストを引き受けるのかという点にある。米国は戦争を始めた側でありながら、その負担をシフトしようとしている。ホルムズ海峡の安全確保を同盟国に求め、エネルギー問題の対応を各国に委ね、さらには早期関与縮小と拡大を同時に模索する。つまり「戦争の現場には関与するが、結果責任は引き受けない」という構えである。一方イランは時間を使って状況を悪化させ、相手の負担を増やそうとしている。結果として、原油価格上昇、物価高騰、エネルギー不安という形で、無力な世界の生活者がコストを引き受けるという不合理な構造となっている。戦争の本質とは、常に弱い者に代償が集中するという現実である。
田中道昭日本工業大学大学院技術経営研究科教授

