発覚の日
里帰り出産を無事に終え、実家に1ヶ月滞在した後、さくらを連れて自宅へ戻る為新幹線に乗り込んだ。ホルモンバランスの崩れか、普段は明るく元気いっぱいな私も、産前産後ずっと近くでケアしてくれた母の優しさを思い、自然と涙が溢れて止まらず新幹線の車内で人目も憚らず泣いた。私も、こんな風に優しい母親になれるだろうか。今日から、夫と二人三脚でさくらを育てていけるだろうか。様々な想いが去来した。自宅に戻り慌ただしく日々が過ぎ、さくらが1ヶ月を迎える頃、会社にいる夫から、『今日は遅くなる』とただ一言連絡があった。そう言えば、最近、少しドライブして来ると急に出て行くことが何度かあった。あまりにも平和ボケしていて、あまりにも信じていて、何の疑問にも思わなかった。初めての子育てで、私の関心は完全にさくらに向いていた。夜中の22時を過ぎても何の連絡も無い。何度メールを送っても、何の音沙汰もない。22:10,22:20,22:30…心臓がバクバクして、10分が永遠に感じた。22:40,22:50,23:00…何の連絡もない。電話にも出ない。23:10,23:20,23:30…その時、全てを理解した。何故?付き合った時から今日まで、浮気をされた事もない。いつも穏やかに、2人で幸せに生きてきた。待望の子宝に恵まれ、さくらが産まれてたったの1ヶ月。今までの、幸せな記憶が走馬灯の様に頭の中を駆け巡る。胸がぎゅーっと苦しくなり、悪い夢なら良いのにと、涙が次から次へと頬を伝う。深夜0時を過ぎても、何の音沙汰もない。さくらは隣ですやすや寝息を立てている。私は、今まで感じた事のない、この上ない孤独感に包まれていた。『全て理解しました。帰宅したら今後の事について話しましょう』そう送っても尚、きっと何かの間違いだ、へらへら笑って帰ってくる筈だと、心のどこかで願っている自分がいた。その後、夫が何時に帰宅したのか、今となっては覚えていない。