タイトルとの落差が激しい記事(笑)
にゃんにゃんみゃあ!
の続き。
その晩、父は寝ずに子猫のそばにいました。
電気を消した暗い玄関で、怯えるだろうから、と段ボール箱の蓋を閉じて、
寒いだろうから、と箱を膝の上に抱いて体温を分け与え、夜を明かしました。
本当は一緒に子猫のそばにいたかったのですが、
父に明日学校があるんだから寝ろと言われ、仕方なく自室へ引き返しました。
今思えば、父は子供に子猫が息を引き取る瞬間を見せたくなかったのかもしれません。
結局、言われたとおり布団の中に入っても、一睡も出来なかったのですが。
朝5時半。登校するために家を出る時、父はまだパジャマ姿で玄関にいて、
子猫はかろうじて生きているようでした。
その事実にほっとする反面、ふと残忍な考えが頭をよぎりました。
素人目にも見込みがないほど衰弱しきって苦しんでいるのなら、いっそのこと、
一思いに殺してあげたほうがいいんじゃないだろうか……
父に出来ないなら、自分が手を下してもいい、そう思いました。
小さくて、まだ産毛しか生えていない子猫を、見ていられなかったのです。
でも、父にはそんなこと言えませんでした。
確かに子猫は瀕死の重体で、あとで分かったことですが、
この時なごみの背中側の首にはイタチの牙が刺さった穴が3つもありました。
駄目かもしれない、最初にそう言った父の行動に疑問を覚えました。
諦めたような口振りで、父はまったく諦めていなかったのです。
夜が明け、たまたま祖父母の家の猫が風邪を引いて病院に行くということだったので、
父は祖父母に猫用ミルクを貰ってきてもらいました。
病院の先生も、祖父母の話を聞いて快くミルクを譲ってくれたそうです。
ミルクをお湯で溶かし、人肌程度まで冷ましてスポイドで子猫に飲ませる。
言葉にすると簡単ですが、まったく簡単ではありませんでした。
先生の助言に従いミルクは3時間おき、しかも子猫は警戒して口を開きません。
意識朦朧としつつも本能で歯を食いしばる子猫の口をこじ開け、
スポイドをねじ込んでミルクを流し込む。
しかし絶対に自分では飲まないので、鼻の穴を片方押さえて呼吸を邪魔し、
息が苦しくなって仕方なくミルクを飲み込むのを待つ。
黙って死にゆく様を見続けるのも苦痛でしたが、生きるためとはいえ、
腕一本動かせない、鳴く事も出来ないふにゃふにゃの子猫に暴力を振るっているような、
最低の事をしている気持ちでした。
命を救う、ということは決して生温いものでも優しい響きのあるものでもない。
心を鬼にするものなのだと、感じました。
父が自営業をしていること、すれ違うとまではいきませんが、
家族の生活時間帯にばらつきがあることが幸いしました。
3時間おきのミルク。
働きながら、学校に行きながら、きっちり守るのは大変でした。
誰もミルクの時間に家にいられない時は、父が仕事を抜け出してミルクを飲ませました。
口を無理やり開かせるのは最初の1週間ほどだったと思います。
子猫は気を許してくれたのか、ミルクが害のあるものではないとわかったのか。
スポイトを口に当てると自分で口を開けてくれるようになりました。
やっと、子猫が可愛いと思えるようになりました。
まだ続きます……