読了⑭ | 何飲む?が何読む?に聞こえたら活字中毒

何飲む?が何読む?に聞こえたら活字中毒

読んだ本の感想を中心に書いていきます。

あくまでも個人的読書記録としてのブログ。

 今回は予告済みのこちら。

愛娘にさよならを---刑事 雪平夏見/秦 建日子
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 連続殺人の現場に残された、
 「ひとごろし がんばりました」

 のメッセージ。どの現場にも同じメッセージが残されるものの、目撃された容疑者像はそれぞれ全く異なる。


 一方、犯人視点で描かれる殺人場面では、それぞれの容疑者が「ひとごろし、がんばってください」と幼い文字で書かれた同じ手紙を読んでいる。


 そして、その「ひとごろし、がんばってください」という手紙を書いたと思われる少女視点の場面が挿入される。


 それぞれが繋がった時、事件の真相が明らかになると共に、「そうきたか」というラストに繋がる。


 まずタイトル。「愛娘にさよならを」だから、当然(知っている読者は)美央との別れを想起するはず。読み方によってはそうもとれるし、別の取り方もできる、「ダブルミーニング(スペシャルドラマのサブタイトルですね)」な感じだと思う。


 次にストーリー。劇中のある設定(映画のネタバレになるので書きません)が出てくるので、映画版以降の話になっているのは間違いないと序盤で想像できる。これは最後に明らかになる日付からも間違いないだろうと思う。


 容疑者になるのは、中年の野球のユニフォームを着た男と、足の不自由な老人と、つなぎを着たモヒカンの若者。残念ながら、足の不自由な老人のエピソードで何となく結末が見える感じは否めない。でも、いつもの「アンフェア」ではないので、そこは予想を裏切られる、かな?

 まあ、何より作者秦さんの筆の速さに驚いた次第。(どうして速さがわかるのかは読めば分かります)おそらく、このラストありきで書き始めたのだろうな、と推理してみる次第。


 で、ラスト。各章のタイトルが 何日目 何曜日 何時 と細かく書かれている、このことの意味が最後に分かったのはあざやかだと思います。そしてまたしても訪れた「雪平夏見によるあの場面」がテレビ中継されたのかどうか、が次作に関わってくるなあ、と思いました。