今回は予告済みのこちら。
- 愛娘にさよならを---刑事 雪平夏見/秦 建日子
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連続殺人の現場に残された、
「ひとごろし がんばりました」
のメッセージ。どの現場にも同じメッセージが残されるものの、目撃された容疑者像はそれぞれ全く異なる。
一方、犯人視点で描かれる殺人場面では、それぞれの容疑者が「ひとごろし、がんばってください」と幼い文字で書かれた同じ手紙を読んでいる。
そして、その「ひとごろし、がんばってください」という手紙を書いたと思われる少女視点の場面が挿入される。
それぞれが繋がった時、事件の真相が明らかになると共に、「そうきたか」というラストに繋がる。
まずタイトル。「愛娘にさよならを」だから、当然(知っている読者は)美央との別れを想起するはず。読み方によってはそうもとれるし、別の取り方もできる、「ダブルミーニング(スペシャルドラマのサブタイトルですね)」な感じだと思う。
次にストーリー。劇中のある設定(映画のネタバレになるので書きません)が出てくるので、映画版以降の話になっているのは間違いないと序盤で想像できる。これは最後に明らかになる日付からも間違いないだろうと思う。
容疑者になるのは、中年の野球のユニフォームを着た男と、足の不自由な老人と、つなぎを着たモヒカンの若者。残念ながら、足の不自由な老人のエピソードで何となく結末が見える感じは否めない。でも、いつもの「アンフェア」ではないので、そこは予想を裏切られる、かな?
まあ、何より作者秦さんの筆の速さに驚いた次第。(どうして速さがわかるのかは読めば分かります)おそらく、このラストありきで書き始めたのだろうな、と推理してみる次第。
で、ラスト。各章のタイトルが 何日目 何曜日 何時 と細かく書かれている、このことの意味が最後に分かったのはあざやかだと思います。そしてまたしても訪れた「雪平夏見によるあの場面」がテレビ中継されたのかどうか、が次作に関わってくるなあ、と思いました。