映画産業は、特にハリウッドでは、映画が社会にとって非常に重要で、世界を変える力を持っているかのように見せることがよくあります。オスカー賞では、俳優たちが自分たちの映画が社会の進歩にどれほど重要かを熱く語ります。しかし実際、映画は主に2つの目的を持っています。それは、映画スタジオの利益を増やすことと、観客個人の自己満足を提供することです。残念ながら、『西部戦線異状なし』(1930年)は戦争を防ぐことはありませんし、『シンドラーのリスト』(1993年)は虐殺を止めることもありません。そして、『12 Years a Slave』(2013年)は人種差別を減らすこともありません。しかし、歴史の中で現実に何らかの影響を与えた映画は確かに存在します。このリストでは、法制、政府、企業、そして個人の生活に影響を与えた映画を紹介します。映画のポップカルチャーに与えた影響は基準に含みません。このリストに挙げられた映画は、各自の偉大さではなく、現実に与えた影響の度合いによってランク付けされています。

 

3. 『薄い青線』(1988)

エロール・モリスのドキュメンタリー『薄い青線』は、ロバート・ウッド警官殺害事件で有罪判決を受けたランドール・デイル・アダムズの裁判を追っています。この映画は、再現映像を使用している点で議論を呼びました。再現映像はドキュメンタリーには不適切だとされていた時代だったからです。『薄い青線』は、アダムズが無実であることを示し、彼が誤って有罪判決を受けたことを証明しました。映画公開から1年後、アダムズのケースは再調査され、裁判が不公正であったことが認められ、アダムズは12年以上の服役を経て釈放されました。実際の犯人であるデイヴィッド・レイ・ハリスは、後に別の殺人で処刑されました。

 

2. 『大幻影』(1937)

ジャン・ルノワール監督の反戦映画『大幻影』は、1937年に公開され、ナチス・ドイツがフランスを占領する数年前に制作されました。この映画は、ファシズムと過激な民族主義の台頭を批判し、国境を超えた人類共通の人間性を祝う内容です。映画はイタリアとアメリカでも賞賛されましたが、この賞賛がジョセフ・ゲッベルスの目に留まりました。ゲッベルスは映画を「映画界の敵ナンバー1」として位置づけ、すべてのコピーを破壊するよう命じました。その結果、ほとんどのフィルムが破壊されましたが、残ったフィルムは未完成だったり、状態が悪かったりしました。オリジナルのフィルムが再発見されたのは1990年代になってからで、なんと60年もの間、いくつかの国を巡り続けていたのです。

 

1. 『アルジェの戦い』(1966)

ジッロ・ポンテコルヴォ監督の『アルジェの戦い』は、アルジェリアとフランスの間で繰り広げられたアルジェリア戦争を通して、植民地主義の影響を鋭く描いています。映画はそのドキュメンタリー風のスタイル、プロの俳優を使わずに演技をしている点、そして戦争の両側をニュアンス豊かに描いている点が特徴です。しかし、『アルジェの戦い』は特にその拷問シーンと都市テロリズムが有名です。そのため、アメリカ政府は2003年、イラク戦争とアフガニスタン戦争が始まる直前に、この映画を上映し、都市戦術や拷問の使用について議論を促しました。この映画が示した戦略的失敗は、フランスが戦術的に成功しても、最終的に戦争に勝てなかった理由を明らかにし、アメリカにとって重要な教訓となりました。

 

まとめ

これらの映画は、ただのエンターテインメントの枠を超えて、現実の世界に深い影響を与えました。それぞれが社会、法、政治、または個人の生活に何らかの形で影響を与え、時には歴史を動かすきっかけにもなったのです。映画がただの娯楽ではなく、世界を変える力を持っている可能性があることを証明している事例です。