お月見の日の夜、もう人通りも無くなった夜道を家に向かってケイタイを眺めながら歩いていたときです。

小さな脇道から出て来て、危ないじゃないか、ぶつかる、気を付けろ!と。

いけない。済みませんを言ったのですが聞こえないようで、ぶつぶつ言いながら通り過ぎたので、もう一度、ご免なさいを言おうと振り向くと、おや!昔々からの飲み仲間。12歩戻って肩に手をやると、びっくりして、お前がいけないじゃないか、下向いて歩いてたらぶつかるじゃないかと。彼はからまれたと思ったようでした。

俺だよ俺だよと顔を近づけると更にびっくりした顔をしましたが、気づくと、もっとびっくりした顔をしたあと、安心した顔になって、ニコニコ顔になって、やあ 、これはこれはと抱き付いて来ました。よほど安心したのでしょう。こんどはあちらから、済みません済みませんと。

爺さんと言っても私より若く、彼はその後も通い続けています。飲むのをやめた私は、たま~にちょこっと寄って見ると、必ず昔通りのお気に入りの一番隅で飲んでいます。

焼酎一本は空けないと帰らない人でかつては給料を、今は年金をホントに全部飲み代にという人。

人生のんびりと、それが彼の幸せ。

ひとには色々な幸せが有ります。

 

 

トミさんといいます。

トミさんが通いつづけている安い飲み屋街。私もお酒をやめるまではこの安

い所へ行ってたのですが…。