文豪ラフカディオハーン(小泉八雲)のお孫さんで、ご厚誼をいただいている稲垣明男先生から、九代目春風亭小柳枝師匠の口演の録音を活字化した落語「のっぺらぼう」の小冊子を送って頂きました。
出典はハーンの有名なkuwaidanの中の短編mujinaです。
高校一年の夏休みの英語副本で読んだ記憶が有りますが、昔、淋しかった町はずれの紀尾井坂から赤坂にかけての辺りで、夜道を通りかかった人が、身投げをしようとしている娘を見付け、説得中に見た顔がむいた茹で卵のようなのっぺらぼうな顔。おどろいて逃げる途中そば屋の赤い提灯を見付け、入るとそこのおやじがまたのっぺらぼう、おどろいて家に帰ると奥さんがのっぺらぼう。と云うものですが、ハーンのはぞっとするような怪談。これを題材にしたほぼ同じストーリーの、のっぺらぼうの落語になると、何んともおかしく、面白くなるのは不思議です。その同じ落語も演者によって面白さが変わるのですからさらに不思議。
話の間の取り方、観客の反応を見ながら話を進めるゆとり、さらには笑う間を与えるに至っては、みごとの一語につきます。
落語、人間国宝にまで選ばれる師匠が居る位、やはりすごいものではあります。まさに話術の妙。
稲垣先生のお手紙と、頂いた落語、のっぺらぼうの小冊子。