邦題：ザ・セル

54点。

ジェイローである理由が良く解らないSF物のサイコロジカルスリラー。

仮にジェイローじゃなきゃ駄目だったのなら壮大なプロモーションビデオ。映画内で度々、彼女が自身のスタイルを強調する仕草を取るので、余計にそう思えます。

監督！音響面が独特なセンスです。映像と釣り合いが取れていると思えません！

とりま、私の選曲で一曲流しながらどうぞ。

オープニングはサルバドール・ダリが多用したイメージ。シュルレアリスムの世界観を表現する。平たく言って夢と現実がごっちゃになった姿こそが現実であると捉えたもの。日本語のシュールの語源でもあるけど、ちょっと用法が違くなった。

ジェイローが大麻をキメて観ていたアニメは「ファンタスティック・プラネット」。

私は何かどっかで見た事ある程度。全く詳しくありませんが、映画内で度々、人間がトリップ中に見ると言われている幾何学な映像効果を挟むので、アートって病んでるのかしら？と無駄に心配になります。

この様に、解る人には解るであろう、あらゆるアート作品をこれでもかとモチーフに組み込んだ映像が全編を通して描写されますが、ジェイローより普通にシャキーラの方が好きな人も沢山居ますし、乱暴に言うと、アートなんてものは知らない、理解が出来ない人からすれば無価値に等しいです。

↑デュシャン作「泉」。これをお部屋に飾るん？

プロットは他者の意識に入り込んで精神世界を描くのですが、その設定はジャンルとしてのサイコロジカルスリラーとは相性が良い様に思えて、当映画では余計な要素と化していました。お馬さんの輪切りやエログロを詰め込んだ事で、アートと言い張るには少々、野蛮であって、本筋の医療行為での感動物語に仕上げた方が世間には受け入れられ易いと考えます。

例えるなら、その筋の専門家と呼ばれる人がずらり肩を並べて、ちょっと的が外れた無駄に長いコメントを一々挟んで来る、ローカルの旅番組の様な映画でした。

The Cell (2000)