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想像上のLand's berry

言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)

オッペンハイマー

監督:クリストファー・ノーラン

感想
 『インターステラー』は地上と宇宙、そして科学と愛の物語だった。この作品にもそうした二重性は見て取れる。ただ、唯一の「正解」に向かって強力に物語を駆動していく『インターステラー』とは異なり、この作品は答えを提示しない。

 彼は、冷徹な科学者か道徳的人間か、あるいは誠実か不実か、国家の英雄か人類に虐殺兵器をもたらした者か。この作品はあたかも量子の重ね合わせのように、そのすべてにYESとNOを同時に答える。

 ロスアラモスの描写はどこかソドムを思い起こさせる。数奇な天才を描いたという点では『ビューティフルマインド』のようでもあり、糾弾される英雄を描いたという点では『ハドソン川の奇跡』にも通じるところがある。ただ感じるのは、これは悲しく虚しい話だなってこと。

 答えは出ないけれど、因果応報的な構造を組み込むことで、ある種のカタルシスは得られる作りになっている。もうひとつ、最後にある会話の内容が明らかになるところは非常にテクニカルに感じた。そこだけ箱がオープンになるような感覚。

☆☆☆☆☆(5.0)


【本予告】『オッペンハイマー』3月29日(金)、全国ロードショー