ドゥラメンテ劇場、いざドバイで開演! 2016年3月22日付コラム | アーク オフィシャルブログ「【開胸手術】~ドナーとの巡り合い(勉強編)」Powered by Ameba

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一つのレースを掘り下げてみると 違う遺伝子を受け 次の為に生きている事に気付いてくる。それはまるで誰かの助けになれば と決意しドナー登録した方が 実際に使って貰えた時の様に… 競馬という病気を治療する為に 私はメスを手にし無免許ながら開胸手術を施す。

ドゥラメンテ劇場、いざドバイで開演!千秋楽パリ公演へ腕試しの絶好機会
2016年3月22日付コラム


重なって見えるトウカイテイオーの姿
ドゥラメンテ世界制覇へ、
ドバイからその一歩が始まる


中山記念を完勝し、いよいよ世界へ飛び立つドゥラメンテだが、ここまでの歩みを振り返ると、劇的な競走生活でファンを魅了したトウカイテイオーの姿が重なって見える。

 
無敗の3冠馬にして皇帝の異名を取ったシンボリルドルフの初年度産駒に当たる
トウカイテイオーは、偉大な父を追うようにデビューから無傷の6連勝で
皐月賞とダービーの2冠を達成。

骨折により3冠は叶わなかったが、翌春の産経大阪杯で復帰すると、
鞍上が手綱を持ったままの大楽勝を演じ、メジロマックイーンとの世紀の対決へ駒を進めていった。

 
一方、ドゥラメンテも華麗なる家系に生まれ落ちたエリート。
新馬戦でいきなり黒星を喫するなど、土つかずの連勝街道を突き進んだ訳ではないが、
皐月賞とダービーで同世代のライバルたちに圧倒的な性能差を見せつけた。

こちらも骨折に見舞われて3冠挑戦の機会を逸したが、
中山記念で復帰したドゥラメンテは、クラシック戦線で鎬を削ったリアルスティールに付け入る隙を与えず完勝。

改めて別格の存在であることを印象づけている。

 
大阪杯のテイオーも皐月賞で2強と謳われていたイブキマイカグラを一蹴。
ドゥラメンテもテイオーも、初めて手にした重賞タイトルが皐月賞だったうえ、
古馬となり、かつてのライバル関係を久々の手合わせで清算した成長力にも共通点が見える。



結果を求められる立場で海外へ
年が明けてまだ3カ月だが、
現時点でドゥラメンテは世界ランク1位の評価を得ている
ただ、テイオーが活躍した1990年代初頭から20年余りの歳月が流れ、競馬を取り巻く環境も大きく様変わりした。

当時、日本馬にとって海外は別世界の話でしかなく、ファンもジャパンCで来日する海外の強豪馬たちに胸を躍らせたものだが、
現在のJCは日本馬の独壇場となり、遠征馬が上位争いに絡むことさえめずらしい。

日本と海外の差は、少なくとも国内においては完全に逆転し、海外に打って出ても、日本の一流馬は世界の一流馬として扱われるまでになった。

 
ここから先のドゥラメンテはテイオーと別の道を行く。
しかも、結果を求められる立場として。
実際に、年が明けて3か月にも満たない時期ではあるものの、

ドゥラメンテはシーマクラシックで対戦予定のポストポンドと並び世界ランキング1位の評価を受けている。

 
ポストポンドは前哨戦のパフォーマンスが評価された長距離区分でのものであり、
キングジョージ制覇など古馬としての実績も十分ある。
メイダン競馬場で実戦を経験済みのうえ、そのまま現地で鋭意調整中と死角らしい死角が見当たらない強敵だ。

それに対してドゥラメンテは、中山記念の結果による中距離区分での評価。
年長世代と戦ったのも当時が初めてで、実績的には一歩譲らざるを得ない。


ただ、ドゥラメンテはダービーで距離を克服済み。
しかも、不滅と思われていた父キングカメハメハとディープインパクトのレコードを更新している。
伸び盛りの現状もあり、勝利を期待したくなるのが人情というものだろう。



最大のライバル・ポストポンドの実力は?
数字上の比較なら最大のライバル・ポストポンドに対しても優勢だ

最大のライバルとなるポストポンドの実力は、
ジェンティルドンナを物差しにすると推し量ることができる。
ポストポンドの前走、ドバイシティオブゴールド(DCG)はシーマクラシック(DSC)と全く同じ舞台設定。
ジェンティルドンナは2014年に優勝しており、時計面の比較が可能だ。


2016DCG:27秒48-52秒18-1分16秒95-1分41秒30-2分4秒53-2分27秒90

2014DSC:27秒77-52秒07-1分15秒74-1分39秒49-2分3秒32-2分27秒25
※どちらもレースではなく馬自身の400mラップ

 
ジェンティルドンナの走破時計2分27秒25は今日まで破られていないコースレコードだが、
ポストポンドのラップと比較すると中間点(1200m)で1秒21、1600mでは1秒81と2秒近くも速かった。

走破時計が速くなるのも半ば当然で、1600m地点で1秒81あった差を、最終的に0秒65まで詰めたポストポンドの末脚も確かなものだ。

 
そして、ジェンティルドンナはオークス、ドゥラメンテはダービーと、3歳春に東京2400mでG1勝ちしている。
走破時計はドゥラメンテが0秒4、上がりも0秒3速い33秒9を記録。
逃げ馬の通過ラップはダービーの方がオークスより最大0秒5遅く、この流れをドゥラメンテは4角7番手で通過した。
ジェンティルドンナはより速い流れを4角15番手で追走しており、その位置関係から両馬は同じようなラップを刻んでいたと推定できる。


2015ダービー:23秒6-47秒1-1分11秒3-1分36秒2-2分0秒5-2分23秒2
ドゥラメンテ:上がり33秒9(4角7番手)

2012オークス:23秒5-47秒1-1分11秒0-1分35秒7-2分0秒0-2分23秒6
ジェンティルドンナ:上がり34秒2(4角15番手)
※400mごとのレースラップ

 
あくまで数字上の比較でしかないが、走破時計の0秒4差を能力分とすれば、
三段論法的にドゥラメンテはポストポンドに対しても優勢となる。

 
凱旋門賞挑戦を表明しているドゥラメンテにとって、ポストポンドは超えなければならない壁であり、半年前の段階で腕試しできるのは願ってもない機会。
欧州トップホースの実力を見極めると同時に自身の課題を洗い出し、その上で結果がついてくれば今回の遠征は100点だ。

Text by 渡部浩明