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マグノリアのブログ

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折りたたまれたワインレッドのケータイを開くと

一通のメールがきていた。


『今から会わない?』


そう一言だけ書かれていた。
一瞬心臓が跳ね上がった気がした。
送り主の彼とは二週間前にコミュニティーサイトで出会ったばかりだったから…

『どうして?』
とだけ送ってみた。 音楽がすき、という 繋がりで知り合っただけだったから、
そこからいきなり飛躍しすぎなメールの内容に戸惑っていた。

少ししてから返信がきた。

『ちょうど今近くにきているんだ。こういうキッカケでも一度会ってみたいと思ったんだ』



行き交う人たちの傘から落ちる雫を眺めながら、改札の前で待っていると

電車から降りて改札口に向かう人たちの群れのなかに、
グリーンとネイビーのバイカラーのウィンドブレイカーを着た青年が目に止まった。


キノコカットと呼ばれる栗色のマッシュヘアーのその青年は、改札を出てあたりを見渡した後に、
なぜかわたしを一目見るとこちらに向かって歩いてきた。


どきどき…心臓の音を表現するにはありきたりすぎるけど、この時確かにどきどき高鳴っていた。



『こんにちは』

低すぎもなく高すぎでもなく、けれど優しい声。
少し細い目だけれど、きゅっと整った鼻筋。
痩せ型だけど、細身の体と髪型がとても似合っていた。
どこか…アンニュイな雰囲気がした。



『晴…だよね?』


名前を呼ばれてようやく我に返った。
柄にもなく見とれてしまってたのかな?


『はい…初めてまして。春クン…だよね?』
そう言って数秒見つめあったあと、お互いなぜか恥ずかしくなってくすくす笑い合った。


春はわたしより2歳年下のデザイン関係の大学に通う三年生。
音楽が大好きでバンドもしている。
知り合ったキッカケも、わたしがバンドに興味があったから。

『名前を聞いて驚いたけど、同じ『ハル』なんだね。なかなか周りに同じ名前のひとがいなかったから、これも何かの偶然かな。』

春は嬉しそうに微笑んで、目が三日月みたいになった。

わたしたちはドラマチックな出会いではなかったかもしれないけれど、
特別な糸を感じていた。