”あの暗闇”を知っている人へ | Flower Salon Plumeria ~フラワーサロン・プルメリア~

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自身と家族の癌闘病を経験。
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あの暗闇を共有した、というと大げさかもしれませんが、共感できることが多い、俳優の塩見三省さんのご著書本の紹介をしたいと思います。

 

塩見三省さんのご闘病を知ったのは、2017年放送の「長嶋さんと中居くん」(テレビ朝日)というTV番組でした。

我らが”ミスター”、長嶋茂雄さんが懸命にリハビリなさるシーンに塩見さんが登場なさって、

同じリハビリ施設で、ミスターに励ましていただいた、

というエピソードをお話しなさっていたのです。

2014年に脳出血に倒れられたそうです。

そんな塩見さんがご自身の体験を本になさったと知り、すぐに購入し、一気に読みました本

 

66歳で発症なさって、以来、ずっと「死ぬことを考えてきた」ほど、以前のように体が動かない、脳に後遺症が残り、元の生活に戻れない、という絶望感でお辛い日々を過ごしていらした、と初めて知りましたしょぼん

胸が締め付けられますしょぼんしょぼん

 

サブタイトルに「人生を中断した私の再生と希望」とあるように、現在は長い時間を経て、「生きなければならないのだと思えるようになった」そうですキラキラ

 

このエッセイをお書きになるきっかけになったのが、星野源さんの一言だったというのも、興味を持った理由です。

星野源さんも病・手術をご経験されています。

そんな星野源さんが

「塩見さん、何か書けばいいのに。僕はエッセイであの病気のことを書いて、書くことによって病に対して一区切り付けられたのです。絶対に書くことで何かクリアできますよ

とドラマ撮影中におっしゃったそうです。

 

闘病記を綴ったブログはものすごくたくさんありますね。

私を含め、皆さん、無意識に、”書くことで一区切り”つけているのかもしれないな、とも思いました。

もちろん、光が見えずに苦しんでいるどなたかの、何らかの力になれれば…という想いなのですが、書くことは自分にとってもプラスに働いているように感じます。

 

闘病の記録だけでなく、災害・事故を含め、大切な人を失ったご経験を綴るのも、同様の効果があるのかもしれませんメモ

 

塩見さんは「お互いに、あの暗闇の中を経験しただけに、重くて有難いサジェストだった」と記されています。

この本の帯には、星野源さんの

全ての”あの暗闇”を知っている人へ、そして全ての”暗闇”を恐れる人へ、届きますように

というメッセージがあるのです。

 

医学の進歩によって、病気で亡くなる確率は低くなるのは良いことだが、そこから命ある「生活」があることについて、塩見さんはこのように綴られています。↓↓

 

「命を救った段階で医師の役割は終わる。命を得た患者はギリギリの精神と身体をもって日常生活の中へ戻っていかねばならない。」

 

もちろん私の病気と、塩見さんの病気は違いますので、その後のリハビリや日常生活は違います。

でも、この気持ち、とても共感できたんですよね。

 

私も、退院が決まった時、嬉しさよりも不安の方が大きかったんです。

ドクターも、看護師さんも、母も

「良かったね。嬉しいでしょ?」

という感じだったのですが、私は複雑でしたショック

 

入院中は守られている、というか”病人=患者”として、治療のことを考えてそこに居ればよかった。

でも、退院したら急に、現実的な生活の中に放り込まれる。

私は幸い身の回りのヘルプをしてくれる母がいましたが、もし独りなら、ヘルプ無しの日常生活です。全部自分ですることは難しかったでしょう。

以前のようには出来なくなってしまったことも結構ある。。。

 

そしてその先に、”仕事はどうなる?”という不安。

元の仕事ができるのだろうか?

職場は受け入れてくれるだろうか?

という不安です。

これが一番大きかったかなぁ。

社会生活を営む、というか生きていく術ですからね。

 

でも、塩見さんは仕事のことはまだまだ先のことだったようです。

まずはリハビリ

「リハビリの療法士さんたちの仕事は、命をとりとめ生還した者がこの世の中で、あるハンデを背負い、生きていくため、現代医療の中で最も重要な役割を担っている。障害を持った人たちを技術と熱いマインドでもって支え、患者と認識を合わせて送り出す。」

 

私の父も母も、リハビリの療法士さんにはお世話になりました。

ドクターや看護師さんほどスポットが当たらないお仕事ですが、どれほど助けられているかと感じます。

”ミスター”のリハビリシーンを何度か見ていても、技術だけではできないお仕事だと思いますね。

 

そして、塩見さんは「生命は自分一人のものではない」ということも度々書かれています。

「自分は一人ではないという実感が陽の光が差し込む場所へと導くのだ」とも。

 

自分一人の命だと考えていると、たいして大切にできない自分がいました。もし癌で強制終了となるなら、それで仕方ない、って思ってました。

でも、命の危機を迎えたとき、私も、私の命は「自分一人のものではない」と思えました。

”生きてほしい”と願ってくれる人が一人でも居るのなら、私には命を粗末にする権利はないんだな…と。

誰もが誰かの大切な人。

そして、見えないけれど守ってくれている存在が居るのだから。

 

「ある日突然、日常を断たれた人たちの側」に、ともに生きている、というメッセージを送ってくれる、勇気をくれる本でした。

 

市場にはもう春のお花が出始めています。

生徒さん達とつくったフラワーBOX。

春のお花たちがひらひらとBOXから飛び出すように溢れています。

皆様のお気持ちが少しでも明るく優しくなれますようにブーケ1