中学校は3期制だった。

1学期、2学期、3学期。

それぞれの学期ごとに、

中間テストと期末テストがあった。



最初の中間テストの結果は――

220人中50番。



ボクは、

それなりに満足していた。

特に勉強を頑張ったわけじゃない。

でも、

英語は98点でクラスでトップだったし、

理科もトップと同じ点数だった。

そんな悪い結果じゃない。

そう思っていた。







だが、テスト結果を見せると、

母はボクの顔を見て、

眉をひそめた。



「……あんた、勉強ついていけてるの?」



思わず、

言葉を詰まらせる。



「◯◯ちゃんのお母さんと話したけど、

あんたの順位は低すぎるんじゃないの?」



まただ。



母は、

ボクより上の人としか比べない。



「英語、98点だったよ」



ボクは、

誇らしげに言った。



「で?全部のテスト合わせて何番なの?」



母の関心は、

そこにしかなかった。



ボクの中で、

何かが小さく弾けた。







小学校では、

テストの結果が明確な順位で出ることはなかった。



でも、

中学校では

「自分の立ち位置」が、

はっきり数字で示される。



そして、

母はその数字を見て、

ボクを評価した。



英語や理科がどれだけ良くても、

総合順位が悪ければ、

それは「ダメな結果」だった。







母は、

テストの結果を見るたびに、

ボクを誰かと比べた。



「◯◯ちゃんはもっと上だったらしいよ?

 どうしてあんたはそこまでいけないの?」



ボクの中の何かが、

すり減っていくのを感じた。



たしかに、

テスト勉強はほとんどしていなかった。

でも、

「次は頑張ろう」とは思えなかった。

だって、

どこまで頑張ればいい?

50位じゃダメなら、

40位?

30位? 

10位?



どれだけ頑張っても、

母は

「◯◯ちゃんはもっと上」

と言うのだろう。







それなら――

ボクは、

こう思うようになった。



「自分を出さないようにしよう」



ボクは、

大した人間じゃない。

みんなすごい人ばかりだ。

だったら、

無理に目立たなくていい。

どうせ頑張っても認めてもらえないなら――

ほどほどでやり過ごそう。