大切な友人の幸せを願い、ユーモアを添える. それが真の友情. 実話をベースに首から下が麻痺した大富豪フィリップとスラム街育ちの黒人青年ドリスの本音で向き合う友情を描いたこの映画は、生涯の1位になる映画という過剰な宣伝はいかがなものかと思うものの、大きな笑いも深い感動もなくとも心がやんわりと温かくなる素晴らしい作品でした. まずこの映画は技術的に素晴らしい作品だと思います. 冒頭から高級車の急発進、警察に止められれば障害者ネタで逃げるなど重々しい雰囲気を漂わせながら、Earth Wind&Fireの「September」でコメディ風な雰囲気で変えるも、観客の心の片隅には悲しい結末を予想させておく巧さに加え、2人の出会いと友情を十分見せたところで冒頭のシーンを再度見せるも、これが全く違う雰囲気のシーンに見えるという巧さ. そして素晴らしい音楽センスと共に心地よいラストへと一気に流れる気持ち良さは、実話でなくても確実に感動する巧さだと思います. また大富豪とスラム街育ち、クラシックとソウル音楽、文学的な会話と下ネタ、養女1人と異父兄弟大家族と何から何まで正反対でありながら、ユーモアたっぷりの本音トークという共通項を持つフィリップとドリスが徐々に互いの幸せを願いながら友情を深め合っていく様も心地いいこと. 特にドリスが赤いシミをつけただけの絵を買おうとするフィリップに対し「健常者専用のチョコ」とからかったり、フィリップも失業手当目当てのドリスに説教をしないなど一見非常識に思える言動も、妻を亡くした傷が癒えない大富豪と家族好きで世話好きなのにそれが家族に伝えきれない青年の苦しみを知ると、これらの言動も実は互いの心の傷を見透かしていたがゆえの言動ではないかと思えてくるんですよね. だからこそ互いに考える. 相手の幸せとは何かを. フィリップはドリスの幸せを願い、訳の分からん絵を高値で売りつけ、一生の仕事ではないと介護職を解き、新たな道を探させる. ドリスはフィリップの幸せを願い、薬が切れた苦しみが和らぐように大きな手で包み込み、妻との思い出に区切りをつけるためにパラグライダーに付き合い、そして恋のリベンジを後押しする. 大富豪、スラム街育ち、子持ちの中年、未来ある青年、障害者、健常者. これらは全て個性だと言うのは簡単ですが、それを行動に移すのは容易ではありません. でも自分が出来ないことを誰かに助けてもらうように、相手が出来ないことを自分がしてあげるのは誰にでも出来ること. 相手を大切な仲間だと思えば誰にでも簡単に出来ること. ただそれをユーモアと本音トークで彩りながら行動に移しただけのフィリップとドリスの友情は、人間にとって本来当たり前のことだからこそ、より心温まるものに思えるものだと思いました. 深夜らじお@の映画館 もユーモアを交えた本音トークが大好きなので3Pに参加したいです. ※お知らせとお願い ■ 【元町映画館】 に行こう.