駐輪場から出てサドルをまたごうとしながら前を見た時、視線の先には布に包まったものを抱いて歩いている年老いた女性がいた。布の中には孫がいるのだろうと、しかしそれは先入観だった。近づいてくる老女の腕には生き物ではなく、キューピー人形がいた。彼女は笑顔だった。凝視してはいけないと思い、ペダルに足を置いてその場を去ろうとしたが、踏み外して空回り。