バスに乗る機会が増えた。同じ時間のバスに乗る。電車に比べて時刻表と前後するが、大体同じ頃合い、いつもの場所を通る。7時頃に通る「-商会」という店の前では、老人女性の店じまいを常に見る。そこはクリーニング、写真の現像などをしているようだ。看板をしまい、電気を消し、シャッターを閉めるという一連の行為を何十年とやっているのだろう。ちょうどバス停の向かいで比較的長い時間それを眺めることができる。郷愁を覚える店構えは僕と同じくらいか年上か、昭和40年代後半から50年代前半の香りが、バスのガラス越しでも感じる。見ていてどこか物悲しさがあって、それでいて温もりがあり、いつか途中下車して中に入ろうと思わせる。バスが1時間に3本しか来なくとも。