信号のない十字路でミラーに軽トラックを視認し、向かいからも乗用車が来ていたので僕は自転車を止めた。軽トラックはスピーカーがついているようで「こちらは廃品回収車です」という声が聞こえる。「どんなものでも引き取りゅ、引き取ります」噛んでいたので運転手がマイクで喋っているのと思いきや、すれ違いざまに見た彼はタバコを吸っていた。録音しなおせばいいのに。
さらに「いらなくなったパソコン、ラジカセ、洗濯機、冷蔵庫、パソコン」と2度、パソコンを挙げた。よほど欲しいのかと。徐行するその廃品回収車を、僕が抜き去るまでに時間を要したのは突っ込みどころ満載の録音テープが1周するまでかかったから。