何もしないから前から長髪で背の低い人が腕を組んだ状態で歩いてきた。距離が近づく途中でそれが男性だと分かった。額が広く、頭のてっぺんから毛が左右に流れている。歩道を歩く彼と僕がそろそろぶつかろうかという時、車道と反対側の駐車場に彼は大きくそれた。腕組みしたまま歩く姿がまず興味をひき、また大げさに避ける様子は見つめた僕の目を怪訝そうな面持ちにさせたかも知らん。彼は道からさらに大きくそれて、僕をうかがっているように見える。猫かと。